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栽培基礎講座

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宿根草花の知識 作り方のポイント


宿根草花
ハナショウブ
開花期:6月中旬〜7月上旬
花の色:紫・紫紅・白・絞りなど
観 賞:庭・池畔・鉢植え・切り花
性 質:強い。乾燥にやや弱い
草 姿:株立ち。80〜100cm
植替え:庭4年目。花の直後
類 縁:アヤメ科。カキツバタ
原産地:日本〜シベリア東部。湿地
 梅雨の晴れ間にあでやかで大きな花を咲かせるハナショウブは、園芸が盛んとなった江戸時代の中期から後期に、各地の湿原に生える野生種のノハナショウブから改良が進められ、現在見られるような見事な花が作り出されるようになりました。
 江戸、伊勢、熊本でそれぞれに改良が行われ、花姿の異なった江戸系、伊勢系、熊本系の三系統が育成されましたが、現在ではお互いに交雑されて、区別がしにくくなりました。江戸と伊勢は庭や畑で眺め、熊本は鉢植えにして室内で観賞するよう育てられます。梅雨の雨が強く降る熊本では、大きな花を傷めないための方法ではなかったかと思います。
 原種が湿地性なので、低地に植えるとよく育ちます。花菖蒲園では水中から伸びて咲いてきますが、これは観賞上の都合で、普段は水を落として育てています。水中よりも普通の畑の方が根がよく張るからです。乾燥する畑や庭でも、早くよく根を張らせることができれば、花は立派に咲きます。同じ仲間でもカキツバタは、水中に植えないと育ちません。

植え替えと植え方
 庭植えでは4年ごとに、鉢植えは毎年、花の直後に植え替えます。アヤメの仲間は、花を付けた茎の根元から、双頭状に苗が育ちます。ハナショウブでも、 4〜5枚の葉が開いたこの苗を根元から取り分けて、葉先を3分の1ほど切って使います。根がなくても、すぐに出てくるので、心配ありません。庭植えでは、 1本ずつの苗にせず、2〜4本の株を花茎だけ切って植え込んでもかまいません。ただ植え替え年数を短くする必要があります。
 畑では30cm間隔の1列植えですが、庭や園地では1品種ずつひとかたまりとして植えた方が、よい景観となります。深植えだと根張りが遅れるので、やや浅植えとし、倒れるときは割りばしほどの支柱をそえます。
 鉢植えでは7号鉢に2本、抱き合わせて中央に植えます。自分流ならば3本植えでも、5号鉢に1本植えでも、花は楽しめます。用土は田土などの粘質土がよいのですが、普通の培養土でも十分育ちます。鉢底を浅水につけておくと、夏の乾燥も心配なく育てられます。

手入れ
 葉が伸び始めたら、根元に緩効性の肥料を少し与えます。8月下旬ごろにもう一度与えれば、晩秋までに立派な株に育ちます。
 春に若芽が伸びたころに、ズイ虫に生長点を食害されて、花が咲かなくなることがあります。オルトランなどの浸透性の殺虫剤を根元にまいておけば、内部の虫を駆除することができます。
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