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2009.10.01 |
タキイ種苗は、2009年の新品種として、株張りに優れ、白さび病※1に強いコマツナ品種『菜々美(ななみ)』を新発売します。 コマツナは、現在の東京都江東区小松川が発祥の地とされる野菜で、古くは江戸時代から冬の代表格として欠かせない存在の野菜です。主要な生産地としては、よく消費量される関東地方が多く、東京都が全国生産量第2位を誇り、関東地方だけで全国生産量の約50%(別添資料(1)参照)を占めています。近年では大阪や福岡などの都市近郊でも盛んに生産されるようになりました。こうした都市近郊の生産地で、気温の高い時期に栽培される際に、株が細くなりやすく収量が上がらないことや、春先や秋口などのやや涼しい時期に発生する白さび病が大きな問題となっています。 このような生産地からのニーズを取り入れて品種改良した『菜々美』は、夏場の高温期でも徒長しにくく株張りがよく、白さび病と萎黄病※2に強い耐病性を持つことが大きな特長です。ややじっくりと生長して、ある程度伸長すると株が横に張るため、葉柄が間延びせずバランスの取れた太い株になります。また、収穫適期幅が比較的長く、夏場でも3〜4日程度の在圃期間があるので、とり遅れの心配も少ない品種です。白さび病に対しては、これまでの耐病性品種の中では最も強いレベルを持ち、さらに萎黄病に対しても強く、春から夏にかけても安心して栽培ができます。また、カッピング※3を起こしにくく、商品性の高い品種です。第58回全日本野菜品種審査会※4では、収量性や揃い性が高評価を受け、1等特別賞を受賞しました。 周年栽培が可能で間引き菜も食べることができるコマツナは家庭菜園やベランダ農業※5でも育てやすく、初心者が野菜の栽培を始めるには最適な品目です。タキイ種苗では生産者の求める新しい品種を生み出し、安定的に種苗を供給するとともに、野菜の栽培を始める消費者へ“ベランダ農業”の推奨(別添資料(2)参照)をはじめとした取り組みを展開してまいります。 |
株張りに優れ、白さび病に強いコマツナ 『菜々美』 |
◆『菜々美』の主な特長 | ||||||||||
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<作型表> |
<価格> |
品種名 | 包装単位 | 希望小売価格(税込み) |
菜々美 | 20mL(約3200粒) | 535円 |
2dL | 4,830円 |
<注釈説明> |
※1 | 白さび病…純寄生菌で、初め葉の裏面に白色でいびつな小斑点が生じ、病斑部の葉の表面は退緑し、周縁が不明瞭な黄色の輪紋となる。秋口や春先、多雨の年に多く発生する。 |
※2 | 萎黄病…土壌伝染性病害であり、生育全期間に発生する。葉脈が網状に黄化し、生長につれて奇形化し、主根の維菅束が褐変して枯死する。土壌が本病病原菌の汚染を受けると、病原菌は容易に駆逐できない。 |
※3 | カッピング…高温乾燥下に養水分が葉縁まで行き渡らず、葉縁の生育が抑えられ葉が全体的にカップ状に反ってしまう症状。見た目が悪くなり商品性が落ちる。 |
※4 | 全日本野菜品種審査会…社団法人日本種苗協会が主催し、国内種苗会社の野菜産地の維持と発展、育種力・採種技術・種子品質の向上に寄与するため、販売中又は育成途上の品種を供試し、実地栽培による比較審査を行い、優良品種の選定を行う審査会。 |
※5 | ベランダ農業…タキイ種苗が提唱しているベランダを利用したプランター栽培。 ベランダ農業サイト(/veranda/) |
【別添資料(1)】 農林水産統計平成19年産秋冬野菜、指定野菜に準ずる野菜等の作付面積、収穫量及び出荷量 |
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コマツナの生産量は年々増えており、平成19年度の生産量は、平成4年に比べ2.3倍増の9.2万トンです。生産量の上位は、埼玉県(16.4%)、東京都(9.8%)、神奈川県(9.1%)、千葉県(7.9%)、大阪府(5.3%)となっております。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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【別添資料(2)】 シブヤ大学×タキイ種苗 ベランダやさい学科第3回講義 ベランダから農業を始めよう 〜コマツナ編〜より |
『わかりやすい“コマツナ”の作り方』の詳しい内容はこちらから |