※1 |
寒締(かんじ)め栽培 |
… |
ホウレンソウやコマツナなどが寒さに耐えるために葉に糖などを蓄える性質を利用して、ハウスの扉や窓を開放して冬の冷たい空気にさらすことにより、通常のものより甘くする栽培方法。農研機構東北農業研究センターが開発した栽培技術で、糖分以外にビタミンC含量も増加することが知られている。 |
※2 |
研究方法 |
… |
ホウレンソウ(品種:『朝霧』『まほろば』『若草』)を寒締め栽培区、対照区の2区画に播種し、寒締めを行うまでは通常栽培を行った。寒締め7日後、18日後、33日後に収穫をし、収穫物を凍結乾燥後、カロテノイド含量はHPLC法、ポリフェノール含量はフォーリン・デニス法、抗酸化能はORAC測定によりH-ORAC値を算出した。また、糖、ビタミンC、シュウ酸についても分析を行った。
認められた結果を実証するため、品種を変えて(『弁天丸』『オーライ』)寒締め栽培を実施し、寒締め20日後に収穫、分析を実施した。その結果、寒締め区では総カロテノイド値はいずれも増加する傾向を示し、ホウレンソウのH-ORAC値は最大で2倍程度に増加した。総ポリフェノール量もH-ORAC値と同程度に増加し、ビタミンC量も増加した。えぐ味の元といわれている、シュウ酸は寒締め前後で差が見られなかった。 |
|
総ポリフェノール |
|
H-ORAC値 |
|
糖 |
(上記のデータはすべて『弁天丸』の調査データ、寒締め20日後) |
|
※3 |
抗酸化能(H-ORAC値) |
… |
ORACとはOxygen Radical Absorbance Capacity(=活性酸素吸収能力)の略であり、ORAC値とは、食べ物に含まれるフラボノイド、カロテノイドなどの総合的な抗酸化物質の能力を数値化したものです。ストレス、紫外線、喫煙などの影響で活性酸素種(ROS)が増えすぎると、体の中のDNA、タンパク質などにダメージをあたえ、その結果、細胞に傷害をもたらします。ROSによるダメージは、多くの病気の状態(癌、糖尿病、心疾患、動脈硬化、神経変性病など)を悪化させることがわかっています。 |
※4 |
加齢黄斑変性症 |
… |
加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとするものが見えにくくなる病気。欧米では失明原因の第一位とされる珍しくない病気であり、日本でも高齢化と生活の欧米化により近年急激に増加しつつあります。ルテインやカロテンといったカロテノイド色素による加齢黄斑変性症の予防効果が示されており、注目されております。 |
※5 |
機能性成分 |
… |
食品中の生体調節機能に関わる成分を機能性成分といいます。ポリフェノールやカロテノイド、イソチオシアネートなどは、様々な生体調節機能を示す代表的な機能性成分です。 |
※6 |
ファイトリッチ |
… |
「野菜の消費拡大」「健康で豊かな食生活」を目指し、野菜の5つの色素成分に着目して機能性の研究・品種開発を行い、従来品種よりも機能性成分が豊富に含まれるタキイ種苗の野菜シリーズです。
(1)「ファイト」:植物(=phyto)、おいしい野菜で食を応援する。
(2)「リッチ」:従来品種より機能性成分が豊富(=rich)に含まれる。
(1) + (2)=健康で豊かな食生活を目指すという願いを込めた造語です。
商標登録(登録第5367922号、平成22年11月12日取得) |