2018.12.10
タキイ種苗は、2018年の年末を前に、310人の男女を対象に「野菜」に関する調査(インターネット調査)を実施いたしました。今年で4回目となる本調査では、「2018年の野菜」の総括に加え、平成最後の節目の年として30年間を振り返り、野菜の変化や流行などについて明らかにしました。「2018年 平成最後の野菜の総括」として、ご報告いたします。
<平成を振り返って>
平成に「流行った野菜」、「代表する野菜」、「定着した野菜」の全てのランキングで、トップ3は「パクチー(コリアンダー)」、「アボカド」、「フルーツトマト」となりました。これらは、平成を代表する「野菜の顔」といえそうです。
平成30年間を振り返っての野菜に対する意識変化を聞いたところ、「野菜を買う手段が増えた」(58.1%)、「野菜を売りにしたレストランが増えた」(58.1%)、「野菜を選ぶとき、含まれる栄養素を意識するようになった」(46.1%)といった傾向があり、生活の中での野菜の存在感が大きくなってきている様子がうかがえます。
<2018年 野菜の総括>
気候、災害の影響が大きかった2018年は、「例年に比べて野菜の値段が高かった」と思う人は77.7%で、昨年より12.2pt上昇しました。また、「例年に比べて高いと感じた野菜」は1位「キャベツ」(39.0%)、2位「白菜」(33.5%)、3位「レタス」(31.9%)と、特に葉物野菜に対する値上がり感が大きかったようです。
「例年に比べて高いと感じた野菜」で1位であったにもかかわらず、「今年食べる機会が多かった野菜」でも、2015年から3年連続で1位だった「たまねぎ」を抜き、「キャベツ」が1位に。また、「値段が高くても買う野菜」でも1位にランクインし、「キャベツ」は値段の高騰を受けつつも、多くの人が購入していた野菜でした。
※グラフなどはすべて%。本リリース上のスコアの構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合もあります。
平成最後の節目の年として、この30年間を振り返る質問から、野菜についての意識の変化や流行が明らかになりました。
平成において「流行ったと思う野菜」、「代表すると思う野菜」、「定着したと思う野菜」を聞いたところ、全項目で上位4つが「パクチー(コリアンダー)」、「アボカド」、「フルーツトマト」、「ズッキーニ」となりました。
「平成に流行ったと思う野菜」では、1位「パクチー(コリアンダー)」(50.3%)、 2位「アボカド」(43.9%)、3位「フルーツトマト」(32.6%)となっています。なかでもパクチーは半数を超え、近年の流行が多くの人の印象に残っているようです。5位は「モロヘイヤ」(22.3%)となりました(図1)。
「平成を代表すると思う野菜」は、1位「パクチー(コリアンダー)」(34.5%)、2位「アボカド」(30.3%)が共に30%を超え、ズッキーニと同率で4位には「水菜」(11.0%)がランクインしています(図2)。
「平成になってから定着したと思う野菜」は、1位「パクチー(コリアンダー)」(38.4%)と2位「アボカド」(37.1%)が接戦となりました。5位には「ケール」(15.8%)がランクインしています(図3)。
図1 複数回答 (N=310)
図2 複数回答 (N=310)
図3 複数回答 (N=310)
2019年5月より始まる新元号で、どの野菜が流行ると思うかという質問では、「スプラウト」(14.8%)と予想する人が一番多く、次なる流行野菜として今最も注目されているようです。
2位の「パクチー(コリアンダー)」(14.2%)、3位の「フルーツトマト」(13.2%)は、上記の平成の野菜に関するランキングでもトップ3に入っており、引き続き流行が予想されています。
また、4位「ビーツ」(11.6%)、5位「アイスプラント」(11.3%)は、次世代の流行野菜として、今後注目の野菜といえそうです(図4)。
図4 複数回答(N=310)
平成の野菜を振り返って、「1年中出回る野菜が増え、野菜の『旬』がわからなくなった」と回答した人は、全体では65.5%*1となりました(図5)。
性年代別での傾向を見ると、女性では年代が上がるごとに「野菜の旬がわからなくなった」と感じる人の割合が増え、男性でも実感している人の割合は60代(67.7%*2)が最も多くなっています。また年代が上がるほど、「旬がわからなくなった」と感じる人が多いようです(図6)。技術の進歩により一年中同じ野菜が手に入るようになってきましたが、そうでなかった時代を知っている世代はそれを「旬」がわからなくなると感じているのかもしれません。
■図5 平成を振り返って…「1年中出回る野菜が増え、野菜の『旬』がわからなくなった」(N=310)
■図6 平成を振り返って…「1年中出回る野菜が増え、野菜の『旬』がわからなくなった」(性年代別各N=31)
「野菜を買う手段が増えた」と感じている人は、全体では58.1%*1となり、平成の間にコンビニやドラッグストアなども野菜を取り扱い始め、オンラインでの購入なども普及したことがその背景にあると考えられます(図7)。
特に20代・30代女性は、それぞれ74.2%*2、77.4%*3と高い割合となり、さまざまな方法で野菜を購入していることが分かりました。男女とも、若い年代の方がより「野菜を買う手段が増えた」と感じている人が多いことがわかりました(図8)。
■図7 平成を振り返って…「野菜を買う手段が増えた」(N=310)
■図8 平成を振り返って…「野菜を買う手段が増えた」(性年代別各N=31)
「野菜を売りにしたレストランが多くなった」と感じている人は、全体では58.1%*1となり、平成30年間で、外食店における野菜にも変化があったようです(図9)。
男性では40代の54.8%*2を最高に、その他の年代では5割に届かなかった一方で、女性では全ての年代で半数を超える結果となりました。最も多かったのは30代女性で83.9%*3、次いで20代女性は77.4%*4、50代女性は74.2%*5と、それぞれ高い割合となり、野菜への関心や情報感度の高さがうかがえる結果となりました(図10)。
■図9 平成を振り返って…「野菜を売りにしたレストランが増えた」(N=310)
■図10 平成を振り返って…「野菜を売りにしたレストランが増えた」(性年代別各N=31)
「野菜を選ぶとき、含まれる栄養素を意識するようになった」人は、全体では46.1%*1と、半数近くになりました(図11)。
性年代別で見ると、女性の30代(61.3%*2)と50代(64.5%*3)が高い割合となりました。全体的に女性の方が野菜に含まれる栄養素への意識が高く、子育て世代の30代や、自身の健康意識が高まるミドル世代は特に野菜の栄養素を意識することが多いようです(図12)。
■図11 平成を振り返って…「野菜を選ぶとき、含まれる栄養素を意識するようになった」(N=310)
■図12 平成を振り返って…「野菜を選ぶとき、含まれる栄養素を意識するようになった」(性年代別各N=31)
タキイ種苗が約25年前にスタートした、健康維持機能を持つ成分を多く含み、なおかつ食味に優れた野菜の研究プロジェクトで、機能性成分を多く含む新しい野菜品種を育成、商品化に成功しています。
平成の「野菜の思い出」を聞いたところ、さまざまなエピソードが寄せられました。
平成を振り返っての「野菜に関する思い出」
「2018年に食べる機会が多かった野菜」は、1位が「キャベツ」(64.8%)、2位「たまねぎ」(62.3%)となり、2015年から3年連続で続いた「たまねぎ」の首位を「キャベツ」が奪う結果となりました。「トマト」(52.3%)は昨年同様の3位となり、トップ3の野菜は安定的に食べられているようです。
4位は「じゃがいも」(51.9%)、5位には「きゅうり」(49.0%)がランクインし、「きゅうり」は初回から初めてのトップ5入りとなりました(図13)。
図13 複数回答(N=310)
今年は、7月中旬以降の記録的な豪雨や、「災害級」ともいわれた高温などの異常気象に加え、台風による塩害、北海道地震といった災害が農家にも甚大な被害をもたらし、気候や災害の影響による野菜不足や価格高騰が多く見られた1年でした。
野菜の値段が「例年に比べて高かったと思う」(77.7%)は、昨年度より12.2pt高い結果となり、消費者の2018年の「野菜の高騰」の実感は高かったことがわかりました(図14)。
■図14 今年は例年に比べて野菜の値段が高かったと思うか(N=310)
「例年に比べて高いと感じた野菜」を聞いたところ、1位は昨年に引き続き「キャベツ」(39.0%)がランクインしました。また、2位には「白菜」、3位には「レタス」が続いており、夏の異常気象や天候不順の影響を受けた、葉物野菜に対する値上がり感が目立った年であったといえそうです(図15)。
図15 複数回答(N=310)
「キャベツ」は、「例年に比べて高いと感じた野菜(図15)」において1位でありながら、「値段が高くても買う野菜」でも1位(27.7%)となりました(図16)。
1位の「キャベツ」、2位の「たまねぎ」(25.5%)、4位の「トマト」(22.6%)は全て「2018年に食べる機会の多かった野菜」でもトップ5にランクインしており、これらは定番野菜として値段に関わらず購入したいと思う人が多いことがわかりました。
「例年に比べて高いと感じた野菜」1位でありながら、「食べる機会が多かった野菜」、「値段が高くても買う野菜」1位であった「キャベツ」は、値段の高騰を受けつつも、多くの人が購入している実態が明らかになりました。なお、野菜の高騰を受けて自ら工夫していることを自由回答で聞いたところ、キャベツは調理における汎用性や、より値段の高い野菜の代わりとしての使いやすさにあることが理由だと明らかになりました。
図16 複数回答(N=310)
今年の野菜の高騰を受けて、創意工夫したこと
カット野菜の購入経験については、75.8%が「ある」と回答し、昨年より4.5pt上昇しています。4年連続で7割以上の人が「購入経験がある」と回答しており、すっかり定着したといえそうです(図17)。
特に、20代女性は90.3%(昨年より6.4ptアップ)、30代女性も90.3%(昨年より16.1ptアップ)と購入経験は9割以上となっており、若い女性たちに多く利用されていることがわかりました(図18)。
■図17 カット野菜を購入したことがあるか(N=310)
■図18 「カット野菜を購入したことがある」 (性年代別各N=31)
カット野菜の購入理由のトップ3は、1位「一度に使う量がちょうどいい、使い切れる」(56.6%)は昨年より4.1pt上昇、2位「料理の時間が節約できる」(48.5%)は9.1pt上昇、3位「値段が手ごろ」(40.0%)は3.8pt上昇と、昨年から順位の変動はありませんが、それぞれ購入する理由が多くなっています。
男女別での購入理由では、全体で一番多かった「一度に使う量がちょうどいい」(男性57.0%、女性56.2%)と「料理が苦手だから」(男性7.0%、女性5.8%)以外では全ての項目で女性の方が意識している人は多い結果になりました。特に「生鮮野菜の値段より安かった」は22.0pt、「料理の時間が節約できる」は19.3pt、「値段が手ごろ」は14.6ptの差が男女で開いています。男性の多くは「一度に使い切れるもの」など特定の理由でカット野菜を購入しているのに対し、女性は値段や料理時間の節約などそれ以外のメリットも意識しながら利用しているといえそうです(図19)。
■図19 カット野菜を買った理由<複数回答(カット野菜購入者N=235、男性N=114、女性N=121)>
「これから取り入れたい、注目している野菜」の1位は、「季節の野菜」(37.7%)で約4割となり、昨年より4.5pt高い結果となりました。「平成を振り返り、野菜の旬がわからなくなった」が65.5%に上る一方で、季節の野菜を取り入れたいと望んでいる人が多いことがわかりました。
2位の「スプラウト」(17.4%)は、「新元号で流行ると思う野菜」でも1位になっており、注目度の高さがうかがえます。また3位「ハーブ」(12.6%、昨年4位)、4位「機能性野菜」(12.3%、昨年5位)は共に昨年より順位を上げる結果となりました。
野菜の栄養分を効率よく摂取できる「機能性野菜」は、昨年より3.3pt上昇しており、「野菜を選ぶとき、含まれる栄養素を意識するようになった」が46.1%と半数近くになったことからも、効果的な栄養分の摂取を意識する人が増えてきているようです(図20)。
図20 複数回答 (N=310)