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2026.07.16
“悩み”に応える、タキイの品種開発力
Vol.2 カボチャにも長もちする“日傘”が必要!カボチャ「グラッセ」

昨今、猛暑などの気候変動や物流環境の変化など、農業を取り巻く環境は大きく変化しており、生産現場に影響を与えています。また、単身世帯・共働き世帯の増加などによるライフスタイルの変化は流通や消費者の購買行動にも影響を与えています。
タキイ種苗では、こうした時代の変化に対応するため、さまざまな品種開発に取り組んでいます。本シリーズでは、「なぜその品種が生まれたのか」という開発背景に着目し、社会課題やニーズとの関わりとともにご紹介します。
■“栽培環境”の変化 − 厳しくなる気温上昇と強い日差し −
各地で梅雨が明け始め、夏本番の暑さが厳しくなってきました。気象庁の全国の季節予報によると、今年の夏も平均気温が高いことが予想されています。夏の暑さは野菜の生育に大きな影響を及ぼします。7月から旬を迎えるカボチャは、主に5月から9月ごろの暑い時期に収穫される野菜であり、“暑さ”対策が余儀なくされます。また、一大産地である北海道でも5月から6月ごろの植え付けからはじまり、7月から収穫が行われますが、北海道でも夏の厳しい暑さの影響が出ています。
また、気象庁によると地表に到達する紫外線量は、1990年の観測開始以降増加しており(※1)、“紫外線の強さ”も問題となっています。
(※1)気象庁「つくばの紅斑紫外線量年積算値の経年変化のデータ」

近年のカボチャ栽培では、暑さによる影響の一つとして「日焼け果」の発生が問題となっています。これは、果実に強い日差しが直接あたることで果実の表面が日焼けし、果実品質の低下や腐敗を招く障害です。場合によっては出荷できず廃棄につながることもあります。
近年、人が暑さ対策として日傘を利用する機会が増えたように、実はカボチャにも果実を強い日差しから守る“日傘”が必要です。その役割を果たしているのが大きく広がる「葉」です。カボチャの葉は、光合成を行うだけでなく、果実を直射日光から守り、「日焼け果」の発生を抑える重要な役割も担っています。しかし、近年のカボチャ栽培では、暑さや局所的大雨などによる栽培環境の悪化に伴い、うどんこ病発症による「葉の枯れあがり」が大きな課題となっています。葉が枯れあがると果実が直射日光にさらされ、「日焼け果」の発生につながるのです。
うどんこ病は、キュウリなどウリ類でよく発生する病気で、葉面に白いカビがひろがることが特徴です。病気が進行すると、葉面全体が汚白色のカビで覆われ、植物の生長に必要な光合成が行えなくなり、最終的に葉は黄化して枯れあがります。
暑さによって根が水分や養分を十分に吸収できず株が弱る事や、局所的大雨による多湿や畑の排水不良は、うどんこ病の発生や進行を助長する要因となります。その結果、葉の枯れあがりが早まると、「日焼け果」だけでなく、果実の肥大不足や品質低下にもつながることから、カボチャ栽培におけるうどんこ病対策は近年の気候変動でより重要な課題となっています。
カボチャの葉
果実に直接日光が当たっている様子
気候変動の影響が大きくなる中、農業現場では従来の栽培技術だけでは対応が難しい場面が増えています。そのため近年は、栽培環境の工夫に加え、環境変化に適応できる品種の開発がこれまで以上に重要となっています。
「グラッセ」の開発
このような栽培現場の課題に対応するため、タキイ種苗はカボチャ「グラッセ」を開発しました。
「グラッセ」は2022年に発表した品種です。「グラッセ」は、うどんこ病への耐病性を備えているため収穫直前まで葉が残りやすく、果実を直射日光から守ることで、「日焼け果」の発生抑制につながります。また、葉が残り長く機能することは果実の肥大や品質維持にもつながります。
さらに、「グラッセ」のうどんこ病耐病性は減農薬栽培の実現が期待できるレベルのため、減農薬による防除作業の省力化や栽培コストの低減にもつながることが期待されています。
現在は、加工向け産地を皮切りに主要な青果用産地でも導入が進んでおり、生産現場から高い評価を得ています。
左:グラッセ、右:他品種
調査日:2018年8月27日 調査場所:北海道
近年は気候変動の影響により、これまで安定して栽培できていた地域でも病害リスクが高まっています。そのため、「病気に強い」という特長は、品質維持や安定生産を支える重要な価値として、品種開発においてますます重要になっています。
グラッセ カボチャ | 品種カタログ | タキイの野菜【タキイ種苗】
■生産現場での「グラッセ」の評価
〇JAぴっぷ町
当地のカボチャ栽培は5月下旬から6月中旬ごろまで定植作業を行い、8月下旬より収穫・出荷作業を行っています。当地ではうどんこ病耐病性をもつ多収の品種を長年探していました。「グラッセ」導入後の2022年度は、従来品種と比較して収量が約2倍になり、また日焼けが少ないことにより秀品率は97〜99%と高くなりました。
〇JAぴっぷ町南瓜部会
今までの品種はうどんこ病によって終盤に葉が枯れてしまうので、収穫は適期の1回が限界でしたが、「グラッセ」は収穫時も葉が枯れずに残っていたため、1回目の収穫の後、圃場に残した未熟な玉も最後まで肥大し2回目の収穫が可能でした。今までの品種と違い、葉が残ることで玉を探すことに少し苦労しましたが、2回目の収穫ができたことで最終的に増収につながりました。
うどんこ病の発生が抑えられ、葉が残る
「グラッセ」を導入しうどんこ病防除の労力が減り収量増加につながる | 産地ルポ | 最前線WEB - タキイ種苗
■“栽培環境の変化”に応える品種開発へ
近年、農業現場では猛暑や豪雨などの異常気象が頻発し、栽培環境は大きく変化しています。これまで安定して栽培できていた地域や作型でも、高温や多湿による病害の発生、品質低下、収量減少など、新たな課題への対応が求められています。
こうした中で、品種開発にも新たな視点が求められています。従来の収量性や食味だけでなく、高温環境への適応や耐病性など、変化する栽培環境に対応できる特性が、安定生産を支える重要な価値となっています。
うどんこ病耐病性をもつカボチャ「グラッセ」も、こうした時代の変化を背景に開発された品種の一つです。タキイ種苗では今後も、気候変動によって変化する生産現場の課題解決に向け、安定生産や品質維持に貢献する品種開発に取り組んでまいります。
※本記事に掲載の比較結果は、当社試験又は栽培現場での評価に基づくものです。栽培条件や環境等により結果が異なる場合があります。
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Vol.1 カット加工の悩みに応える!メロン「レノン」シリーズ
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