調べる

野菜

病害虫・生理障害

戻る

ハクサイ

鉄欠乏

データ作成年月日:2003/06/10

写真1

写真2

写真3

症状

上位葉が葉脈部を残し、淡緑色に変色するクロロシス症状を示す。写真は鉄を欠如した1/2園試処方の水耕栽培で再現した時の様子。症状は速やかに進行し、処理4〜5日目には上位葉の葉縁部から変色が始まり、処理7日目には葉脈部を残し退色した(写真1)。その後2週間目には、上位葉の退色が進み、白化するとともに葉縁部の枯死も認められた(写真2)。写真2の拡大が写真3。

原因

土壌中には多量の鉄が存在しているが、水に溶けない状態では植物体には吸収されない。そのため土壌のpHが高い場合は不溶化し、欠乏症を引き起こすことがある。また銅、マンガン、亜鉛などの重金属が過剰に存在する場合、鉄の吸収と競合し、欠乏症を示す場合がある。

診断法

症状としては上位葉の葉脈間の黄化が特徴。これは程度の差こそあれ、ほとんどの作物に共通な鉄欠乏の症状。土壌診断でpHを測定し、アルカリ性を示す場合には鉄欠乏の疑いがある。

対策

短期的には硫酸第一鉄や、塩化第二鉄などの葉面散布が有効。また欠乏症が土壌のpHによる場合は石灰資材などアルカリ資材の施用を見直し、あるいは硫黄華などの酸性資材の施用により土壌のpHの低下を図る。

ご注意

生理障害は、一般には肥料要素の欠乏または過剰により発生しますが、その原因に関しては、単純にその要素のみが欠乏または過剰の場合以外にも、他の肥料要素の多少が影響して起こる場合や、土質やpHなどの土壌条件が影響する場合、温度や水分など気象条件が影響する場合など、さまざまな環境条件が重なって発生している場合が多く、簡単には特定できないことが多々あります。

従って、その対策を講じる場合は、土壌分析を行うなど圃場の土壌条件を把握した上で行うようお願いします。

また、症状が生理障害に類似した病虫害もあり、生理障害との区別が難しい場合があります。詳しくは、農協や公共の指導機関にご相談ください。