Report サンリッチ開発秘話

サンリッチひまわり開発秘話第1回

サンリッチひまわりの名前の由来は?

羽毛田ヒマワリは、英語で「サンフラワー」、フランス語では「ソレイユ」、さらには学名で「ヘリアンサス」と、これらはすべて「太陽の花」を意味する言葉で、国や所は変われど、ヒマワリに対するイメージは普遍であることがうかがえます。
その太陽のように明るく力強いヒマワリの中で、国内取り扱い数量の80%以上を誇るヒマワリの代名詞ともいえるシリーズがサンリッチひまわりです。サンリッチひまわりへのニーズは国内に限ったことではなく、例えばヨーローッパの切り花需要を支えるオランダの花き市場でもヒマワリ全体の取り扱い数量の90%以上を占めるなど、ここまで高い水準で世界に認められたヒマワリはサンリッチひまわり以外には存在しません。
今回はそのサンリッチひまわりが誕生するに至ったいきさつを、生みの親であるブリーダーの羽毛田に聞きました。

サンリッチひまわりが生まれる前のヒマワリのイメージは?

私にとって当時ヒマワリと言えば、プールサイドに咲いている粗野な花というイメージでしたね。切り花ではない、露地に咲く花。ロシアヒマワリと呼ばれる種類が一般的で高さ2mほど、花弁が垂れていてだらんとした印象でした。その当時にシャキッとしたイメージを持てる品種といえば'太陽'くらいのものだったんじゃないでしょうか。

切り花のヒマワリを育種しようとしたきっかけは?

ビッグスマイル
ビッグスマイル
その当時、ヒマワリに目を向けている人は、多くはなかったと思います。そもそも、最初は切り花品種を作出しようとは全然考えてなかったんです。高性品種ではなくて、矮性品種を作ろうと考えてました。先ほど述べたように、当時のヒマワリの多くは見上げるほど高く育つ種類だったので、逆に小さな子どもが目の高さで楽しめるような矮性のヒマワリがあればおもしろいんじゃないかと。それがヒマワリの育種をはじめるきっかけでしたね。そのイメージをもとにできた品種が'ビッグスマイル'です。
そういうわけで育種を開始したのですが、掛け合わせの素材(親)に何を使おうと考えたところ、当時、花形のよい品種は'太陽'という高性種しかありませんでした。そのため、それら高性種と'ドワーフサンゴールド'などの矮性種の掛け合わせを行っていたのですが、そのような中から背の高い端正なヒマワリができてきました。一方、食用ヒマワリの系統に花粉の出ないものがありました。「花形と草姿のよい高性種、それに無花粉の特性を兼ね備えた品種ができれば、おもしろい品種になる」と、その時考えました。

育種の面白みは?

育種ではすでにある固定種のよい性質を上手に取り入れることが大切なポイントです。F1種は特性がすべて同じですが、固定種はいろいろな性質を持った個体が出てくる。これを上手に使う。それがおもしろいんですよ。やたらにいろいろな素材を集めてくるのではなく、まず身近にある素材が使えないかをじっくり調べ上げる。それで見込みが低ければ範囲を広げ、違う素材を取り入れていくんです。
ただ、育種はやはり野生種が決め手になることが多いですね。野生種の中にすべての園芸種があると考えています。ヒマワリで言えば、最後はアリゾナやテキサスなどに自生している野生種に戻るということです。

開発の際に大変だったことは?

 'サンリッチ'系のヒマワリは一本立ちで一輪しか咲かないため、ポット等で栽培すると採種できるタネの量が限られる点ですね。それに開花期が1週間程度しかなく、その期間に交配等をすべて終わらせないといけない。系統間で開花期がずれると交配もできないわけです。その辺がやっかいな点でしたね。