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ハクサイ根こぶ病

データ作成年月日:2024/1/26

写真1(HK)

▲被害圃場(幼植物)

写真2(HK)

▲地下部に形成された根こぶ

写真3(HK)

▲被害圃場(結球期)

症状(診断)

主根や支根にこぶを形成する。こぶは形成後日が浅いときには、表面は白色平滑でかたいが、日がたつにつれて表面は褐変して粗面になる。幼苗期に感染すると主根に大型の根こぶを形成し、生育途中に感染すると、主として支根に小型のこぶが多数形成される。そのために、水分や栄養の吸収が妨げられて、発育は遅れ、葉色はあせ、茎葉が晴天の日中しおれるようになる。結球期になると、外葉ばかりでなく、結球葉も外側から順にしおれて展開する。早くから激しく発病すると、生育中途で枯死に至り欠株を生じる。

発生の仕組み

病原:糸状菌(かび) プラスモディオフォラ ブラシカエ
典型的土壌伝染病である。本菌は生きた宿主植物の根で寄生生活を送る以外には増殖することのできない、いわゆる絶対寄生菌であり、根こぶの内部に無数に形成される休眠胞子により、土壌中で数年間、活動することなく生存することができる。
宿主植物はアブラナ科(ハクサイ・キャベツ・カブ・菜類)に限られる。ダイコンには、品種にもよるがあまり発生しない。ほかのアブラナ科作物にはいずれも激しく発生し、すべて共通の宿主と考えなければならない。
休眠胞子からは、適当な温度と水があると宿主根の周囲で、鞭毛によって土壌の自由水中を自由に泳げる遊走子が形成されて、宿主根に到達し感染する。感染後は、宿主根の表皮細胞中で増殖、充満して休眠胞子を形成する。その過程で宿主根は異常発育して巨大なこぶを作る。
根こぶ病の発生は、次のように、実にさまざまな環境要因の影響を受ける。
*土壌水分:根こぶ病菌は、土壌水分の多少と発生との間に密接な関係がある。遊走子によって地表あるいは土壌孔隙内の自由水中を遊泳、移動して宿主根に感染するため、畑地よりは水田(転換畑)で、また、乾燥する圃場よりは排水の悪い圃場でより多く発生する。一枚の圃場の中でも、湿度の高い部分でより多く発生する。
*温度:9〜30℃で発生するが、最適温度は20〜24℃である。
*日長:長日条件下で発生するが、1カ月間の平均日長が11.5時間以下になると発生は激減する。根こぶ病は春から初秋の病気であるといえる。
*土壌反応:pH4.5〜6.5の酸性土で発生し、pH6.5以上の中性からアルカリ性の土壌では発生が激減する。
*土質:湿性黒ボク土では多発する。
*土性:埴土・埴壌土で多発し、砂土では発生が少ない。排水の良否と関係があると思われる。
休眠胞子の混入した土壌(汚染土壌)の移動と、汚染した床土で育苗した苗は、最大の伝染経路である。各種農作業に用いる大小農機具や、作業者の履き物に付着した汚染土壌の移動により、圃場間・圃場内の汚染拡大が起きる。また雨水や風による汚染土壌の移動、収穫残さや収穫物の洗浄廃水、水田地帯では、潅漑水でも汚染は拡大する。

防ぎ方

土壌pHが7.2以上で発生が減少する。石灰や転炉さいなどを施用して土壌酸度を7.2以上に矯正することで被害を軽減できる。石灰チッソの施用(80〜100kg/10a)によっても被害発生を抑制できる。
ハクサイの品種では、根こぶ病耐病性を持つ「きらぼし」シリーズなど多数あり、病原菌の系統に対応する品種を導入することで被害を軽減できる。
発病圃場では、ネビジン顆粒水和剤、フロンサイドSC、オラクル顆粒水和剤、ランマンフロアブル、エトフィンフロアブル、ネビライト粉剤を圃場全面施用するほか、生物薬剤のフィールドキーパー水和剤も効果がある。土壌消毒剤として、キルパー、NCS、ガスタード微粒剤も利用できる。

ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。

農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。

本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。

病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。