実際に袋で育ててみよう

袋栽培の準備

土の準備

袋栽培に用いる培養土は信頼できるメーカーのものを使用し、袋の表示をよく確認することが必要です。肥料、腐葉土などの有機物、土壌改良材が入っていて、土壌酸度の調整がされていたら、その培養土でほとんどの野菜は栽培できます。

培養土の容量は、栽培したい野菜がキュウリのように背が高くなる果菜であれば、通常25ℓ入り、または、30ℓ入りのものを準備することをおすすめします。一方、茎を伸ばさない葉菜などを栽培する場合には、10〜20ℓ程度の培養土の袋でも十分可能です。

袋の準備

袋栽培に使用できる袋としては、ポリエチレン製の培養土の袋、肥料袋(20s)、精米した米袋(10s)、土嚢袋、麻製のコーヒー豆袋などがあります。培養土の袋や肥料の袋などは、空気をまったく通さないので、底にする部分に直径1p程の穴を10カ所程度開けて通気性のよい上質の培養土を入れることが必要です。土嚢袋と麻製のコーヒー豆袋は、編み目から水が抜け通気もよいので、底部に穴を開ける必要はありません。

できれば、一度培養土をシートの上に出し、水抜き穴を開けた部分にネットまたは寒冷紗を入れ、その上に広葉樹の落ち葉や枯れた葉を5pぐらい入れ、またその上に培養土を戻すとよいでしょう。そうすると袋の底に空気の層ができ、根の生育が良好になります。これは土嚢袋や麻袋を使う場合でも有効です。落ち葉や枯れ葉が手に入らない時期は、ネットや寒冷紗だけでも入れることをおすすめします。

肥料袋

肥料袋

土嚢袋

土嚢袋

コーヒー豆袋

コーヒー豆袋

ポイント

培養土の袋をそのまま使うのはもちろん、身近にあるいろいろな袋が利用できる。
それぞれの特性をよく考えて使うこと。

春から育てる袋栽培向けの
おすすめ野菜

新しい袋と培養土を使って栽培する場合、下表のいずれの種類も栽培することができます。1作目の栽培が終わった袋を用いる場合は夏の高温や冬の低温で消毒してから、2作目の栽培をしましょう。

春からのおすすめ野菜

タネから
育てる野菜
ポリ鉢に
タネをまいて
育てた苗を袋に定植
3〜4月タネまき、自分で育苗可、4〜5月定植、1〜2鉢/袋
→初夏〜秋に収穫
ミニトマト、ナス、ピーマン、キュウリ、ニガウリ、スイカ、カボチャ、トウガン、ズッキーニ、スイートコーン、オクラ、ラッカセイ、ツルムラサキ
4〜5月タネまき、自分で育苗可、5〜6月定植、2〜3鉢/袋
→初夏〜秋に収穫
バジル、シソ、モロヘイヤ、エダマメ
苗や種イモから
育てる野菜
袋に苗や
種イモを定植
5〜7月に定植、1苗/袋
→10月に収穫
苗:サツマイモ
2〜3月に定植、1〜2個/袋
→6〜7月に収穫
種イモ:ジャガイモ(春作品種:男爵など)
4〜5月に定植、1個/袋
→10〜11月に収穫
種イモ:サトイモ、ヤマイモ

秋からのおすすめ野菜

タネから
育てる野菜
袋にタネを直接まく 9〜10月にタネまき
→秋〜冬に収穫
ダイコン、ニンジン、ホウレンソウ、シュンギク(点まき)、チンゲンサイ(点まき、苗の定植も可)、コカブ(点まき、条まき)、コマツナ、リーフレタス、二十日ダイコン(条まき)
タネをまいて育てた苗を袋に定植 8月タネまき、自分で育苗可、
9〜10月定植、1苗/袋
→秋冬〜春に収穫
ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、ハクサイ、ミブナ
9〜10月タネまき、自分で育苗可、10〜11月定植、3〜4苗/袋
→秋冬に収穫
チンゲンサイ
9月に定植、干しネギ2〜3苗/袋
→秋〜冬に収穫
葉ネギ
11月に定植、4〜5苗/袋
→春〜夏に収穫
タマネギ
苗や種イモから
育てる野菜
袋に苗や
種イモを定植
10月に定植、1苗/袋
→春に収穫
苗:イチゴ
8〜9月に定植、1〜2個/袋
→12月に収穫
種イモ:ジャガイモ(秋作品種:アンデスなど)

タネのまき方

タネのまき方

自分で育苗してみよう

袋に植えつける苗は購入してもよいのですが、自分でタネから育てて楽しむことができます。

ポリポットを使う方法

直径9pの黒ポリポットが一般的です。用土は、肥料を含む土壌酸度調整済みの培養土を用い、ポリポットに培養土を9分目ぐらい入れて、育苗箱や苗トレイに並べます。表面の土を平らにし、指で1p程度の深さの小さな穴をあけて、果菜の場合は1ポットにつき1個のタネをその穴にまきます。発芽しない苗はほとんどありませんので、1ポットに2〜3粒のタネまきをして間引きするよりは、少し多めのポットを準備して、1ポットに1粒ずつまくことをおすすめします。全部のポットにタネをまき終わってから覆土して、水差しまたは小さなジョウロで慎重に水やりします。

タネまき後、ポットの表面の土が乾いてきたら、水差しまたは小さなジョウロで水やりをします。ジョウロで強く水やりをすると覆土した土が流れたり、タネが動いたり、発芽した苗が倒れることがあるので、慎重な水やりが必要です。
また、ラッカセイ、スイートコーン、エダマメでは、覆土していてもハトなどが飛来してタネを食べられることが多いので、タネをまいた後は育苗箱に入れたポリポットの上を寒冷紗などで覆う方が安全です。

ジッパー付き食品保存袋を使う方法

より簡便な方法として、私が考案した食品用の保存袋を使った育苗方法を紹介します。保存袋は、底にマチがあって用土を入れた場合に袋が立つものを使います。
縦15p、横15p、底マチ6pの大きさのスライドジッパー保存袋を使う場合、底のマチを広げて培養土を300㎖入れます。
この時、袋が立つように机の上などで袋の底をトントンと上下に打ち、培養土の表面を平らにします。その上に水60㎖を入れ、全体に水が広がるように混ぜます。
用土を整えたら、間隔をあけて5o程度の穴をあけ、ミニトマトのような小さなタネは1袋に3粒、キュウリやニガウリでは1袋に2粒を穴にまきます。まいた後は覆土し、袋に空気を入れた状態で密封。この袋を直射日光の当たらない明るく暖かい室内に置き、毎日観察します。タネまき後、1カ月程度は密封状態を保ちます。水を与える必要はまったくありません。発芽の早い苗は、茎葉を袋の外に出して育てます。袋の口を開けた後は、50㎖程度の水を時々与えます。

食品保存袋での育苗例。

袋は基本的に密封のままで問題ないが、発芽が早ければ生長に応じて袋の外に茎葉を出す。