梁川正監修 袋栽培を楽しもう

梁川 正
京都教育大学名誉教授
農学博士

環境教育実践センターにおいて、野菜や花き、食用植物などの栽培指導のほかに、栽培植物の残渣を堆肥化して「食の循環の教育」の指導を実施、研究面では、球根花きやラン類などの組織培養によるウイルスフリー化や増殖、無菌培養の簡便化に関する研究を推進。退職後は、袋で簡単に栽培を楽しむ方法や簡便に無菌で培養して楽しむ方法、植物を育てる活動の大切さの普及に努めている。

京都教育大学附属幼稚園の元園長でもある梁川先生に、
教育的見地からもおすすめの袋栽培について解説していただきます。

袋栽培のメリット

袋栽培は、畑や花壇などでの地植え栽培とは異なり、鉢やプランターなどに代表される容器を用いて植物を栽培する方法の一つです。庭や畑がなくても、玄関先や駐車場の片隅、部屋の窓辺やベランダなど、ちょっとした空間を利用して楽しめ、移動や持ち運びも簡単。栽培を終えた後も袋を片付けるだけで済みます。
袋栽培を始める場合、まずはどの植物をどこで栽培するかを考えて、培養土を準備します。そして袋に直接タネをまくか、苗や種イモなどを植え付けて栽培をするかを決めて、タネや苗、袋を準備します。
袋栽培でも水の管理が十分にできれば、庭や畑でとれるものと同様のものを作ることができます。

教育現場での教材としても活躍

袋栽培は、畑や花壇が少ない幼稚園や小学校、中学校などでの自然との関わり、栽培植物の観察、管理などの体験活動の教材としても活用できます。
栽培した植物そのものに触れたり、生長、開花、結実の様子を観察したりすることによって、子どもだけでなく大人にも、次のような4つの大切な心が育まれるものと思います。

タネのまき方

育まれる4つの心

和らぐ心 植物の存在や植物に関わることで、気持ちが落ち着き、
精神的に安定する心が育つ
不思議に思ったり、驚いたりする心 植物の生長・開花・結実する過程を観察することで育つ
命を感じる、命を大切にする心 生きている植物の生命力に触れて育つ
楽しむ心 植物に関わって、野菜では収穫して食べること、
草花であれば開花した花を見ることで育つ