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二つの病原菌が関与する。ともに発芽不良と発芽後の立枯れを起こす。
ピシウム菌の場合：地際部の茎（胚軸）と根部が軟化、腐敗して倒伏する。多湿状態では、病変部に白色綿毛状のかびを生じる。
リゾクトニア菌による場合：地際部の茎（胚軸）が褐変してくびれ、倒伏する。

病原：糸状菌（かび）
　（１）ピシウム　ククルビタセラム
　（２）ピシウム　デバリヤナム
　（３）リゾクトニア　ソラニ
ほかに、ピシウム　アファニデルマータム、フザリウ　オキスポラムによる苗立枯病が知られる。
ピシウム菌は、鞭毛菌類（水生菌ともいう）に属し、遊走子を形成して伝染するほか、罹病植物や土壌中に卵胞子を形成して越冬、伝染する。リゾクトニア菌は、担子菌類に属し、土壌中に菌核を形成し伝染、発病する。ピシウム菌、リゾクトニア菌による苗立枯病は、キュウリの子苗時から、本葉５葉期までの苗に発生しやすいが、大きな株にも発生することがある。高温多湿環境下で発生し、ピシウム菌による苗立枯病のほうが高温期に発生しやすい。

育苗中に発生する苗立枯病は、病原菌に汚染された土壌を用いることで発生する。育苗にあたっては、育苗容器、消毒済み種子を利用するとともに、用土は、新しい育苗用の用土を購入して使用する。
古い用土を使用する場合、土壌消毒が必要である。土壌消毒には、キルパー（リゾクトニア菌）、クロルピクリンくん蒸剤（クロールピクリン、クロピクテープ、クロルピクリン錠剤）が利用できる。また、太陽熱消毒など、熱を利用して土壌処理する方法も有効である。
ピシウム菌の苗立枯病には、タチガレン液剤、タチガレファイト液剤、プレビクールＮ液剤が播種時の土壌潅注で利用できる。リゾクトニア菌による苗立枯病では、バリダシン液剤、バリダシン液剤５が播種直後の潅注処理で、バシタック水和剤75（播種時〜子葉展開時、土壌潅注）、モンカット水和剤50（播種時〜子葉展開時、希釈液３ℓ/m²を土壌面に潅注）、リゾレックス水和剤（播種時の土壌潅注）、ダコニール1000（播種時または活着後、定植14日後まで）が利用できる。