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病害虫・生理障害

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ナス

リン酸欠乏

データ作成年月日:2003/02/03

写真1

写真2

症状

写真1は完全培地からリン酸欠如培地に移したナス。下位葉は初め黄化し、枯死して落葉した。写真2の左は正常区で、右のリン酸欠如区は生育が極度に低下しているのが分かる。上位葉は暗緑色になり、茎の伸長は停止して芯止まり症状を呈する。果実の肥大も停止している。土耕での軽度のリン酸欠乏は、特に症状は出ないが、根張りが悪く、初期生育が遅いのが特徴。

原因

水耕では、リン酸の入った培養液を濃厚なままカルシウム肥料と混合したりすると、リン酸カルシウムとして沈殿して、養液中リン酸濃度が極端に低くなる。
土耕では、既耕地では過去に施用したリン酸が土壌中に大量に残っているため、リン酸無施用でもリン酸欠乏障害は通常は出ないが、新規土壌はリン無添加では作物はほとんど生育しない。

診断法

水耕では、培養液の作成方法および沈殿の有無の確認。リン酸はカルシウムのほか、鉄、アルミニウム、マグネシウムなどともよく結合し、沈殿する。新規栽培土壌での土耕では、リン酸の施用は必須。特に火山灰土壌では、多量のリン酸を必要とする。

対策

水耕では、培養液の作成し直し。土耕ではリン酸の施用。新規のリン酸不足土壌にリン酸肥料を均一に混和すると、土壌中のアルミニウムなどに固定されるため、条施の方が少量でよく効く。

ご注意

生理障害は、一般には肥料要素の欠乏または過剰により発生しますが、その原因に関しては、単純にその要素のみが欠乏または過剰の場合以外にも、他の肥料要素の多少が影響して起こる場合や、土質やpHなどの土壌条件が影響する場合、温度や水分など気象条件が影響する場合など、さまざまな環境条件が重なって発生している場合が多く、簡単には特定できないことが多々あります。

従って、その対策を講じる場合は、土壌分析を行うなど圃場の土壌条件を把握した上で行うようお願いします。

また、症状が生理障害に類似した病虫害もあり、生理障害との区別が難しい場合があります。詳しくは、農協や公共の指導機関にご相談ください。