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　急激に培地中鉄濃度が高まった場合、処理後数日で上位葉、下位葉を問わず、葉にブロンズ色の斑点が生じる（写真１、２）。鉄濃度が徐々に増加するような実験をすると、生育が抑制され、全体に生気がなく、葉が若干濃緑色を呈するが、外見的な顕著な症状は見られない。

　写真１、２は、園試処方の完全培地（鉄3ppm）で20日間栽培後、鉄濃度をクエン酸鉄で1000ppmにした、急性症状。

　健全葉中の鉄濃度は120ppm程度であるが、症状の発生した葉では著しく高く、4500ppm以上になる。重金属元素による毒性は、SH基を持つファイトケラチンによって通常無毒化される。症状のところで紹介したように徐々に鉄濃度を上昇させた場合は、顕著な障害症状が見られないのは、こうした無毒化物質の合成系が誘導されるためと考えられている。

　培養液中への鉄資材の施用量を間違わないようにする。