キュウリ台木の上手な使い分け
(1)ブルームレス台木
■フォルテ
低温伸長性にすぐれ、強勢でつるもちのよい台木です。特に初期の根張りがスムーズで、枝発生が安定します。成り疲れが問題となる長期栽培で有効です。種子は大粒、胚軸は太くかためで、空洞が小さく接ぎ木作業が容易です。また、うどんこ病耐病性のため、育苗中のうどんこ病発生を軽減できます。
■スターク
耐暑・耐干性にすぐれ、強勢でつるもちのよい台木です。根域が広いため長期間収量が安定します。接ぎ木作業性やうどんこ病耐病性は「フォルテ」と同様で、良苗生産がしやすい品種です。
■エイブル
「フォルテ」「スターク」よりもややおとなしく、草勢管理が容易なオールシーズン型品種です。穂木品種との親和性は高く、胚軸が太いため接ぎ木作業が容易です。
(2)ブルーム台木
ブルームレスにこだわらない家庭菜園や差別化を目指したブルームキュウリ栽培では、「グリップ」が適します。「グリップ」は日本種カボチャのF1台木で、発芽がよくそろうため、接ぎ木作業が計画的に進められます。また、キュウリを断根して接ぎ木しても、本葉1枚目の奇形葉や障害葉の発生が軽微に抑えられ、苗姿がよくなります。
●キュウリの台木
品種名 | 低温 伸長性 |
草勢 | 胚軸の 太さ※ |
キュウリ つる割病耐病性 |
うどんこ病 耐病性 |
ブルーム | 特性 | 生かすポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
フォルテ |
特良 | 強 | 4 | ○ | ○ | なし | うどんこ病耐病性で低温伸長性にすぐれる | 冬春栽培で特に能力を発揮。雌花性が高い早生の穂木品種との組み合わせで安定多収をねらう |
スターク |
良 | 強 | 4 | ○ | ○ | なし | うどんこ病耐病性で育苗管理が容易。強勢でスタミナが持続する | 大量の苗生産現場や夏秋品種との組み合わせで能力を発揮 |
エイブル |
良 | 中強 | 3.5 | ○ | ー | なし | 強勢で収量性抜群 | 夏秋品種との組み合わせで能力を発揮 |
グリップ |
良 | 中強 | 3.5 | ○ | ー | あり | 強勢で収量性抜群。接ぎ木後の障害葉の発生が少ない | 大量の苗生産現場やブルームキュウリ栽培で使用 | 鉄かぶと |
特良 | 強 | 4 | ○ | ー | あり | 耐暑・耐干性、つるもち抜群 | 強勢なので元肥は少なめでスタート |
※胚軸の太さ:(細)1←→5(太) |