社会への貢献

医・食・農一体の取り組み
〜京都大原記念病院との連携が生んだグリーン・ファーム・リハビリデーション®〜

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第2章 グリーン・ファーム・リハビリテーションの実際(農園編)

6害虫と病気と雑草は早めに見つけて対処する

除草作業は雑草が新芽の頃に行う事で作業効率が上がり時間短縮に繋がりました。他にも農園内の歩行通路はアグリシートを敷くことにより除草範囲が狭くなりました。(同院 榎並宏之氏)
病院に併設した農園ですので、農薬を極力控えるため、初期防除に努めました。新芽が食べられるとその後の成長にも影響を与えてしまいます。そのため、定植またはタネまき時に粒状の「殺虫剤」をまき、初期の病虫害を防ぎました。また、初期生育時に大雨や台風にあたった直後は、野菜を「殺菌剤」で消毒しました。

7施設スタッフ間の協力体制をつくる

3期にわたる同院との連携では、同院スタッフの協力体制にも随分と変化が見られました。年を追うごとに、農園が綺麗に整備され、野菜が鮮やかに実り、患者様との会話がはずんでくることがわかってくると、農園に関わるスタッフさんがどんどん増えてきました。
2016年1月、同院で「農園チーム」が発足し、農園の取組みが組織化されました。
タキイから技術員が訪問する日には、院内の至る所で「農作業協力のお願い」が告知され、回を増すごとに協力する職員の数とやる気は増しているのを感じました。

農園を訪れる患者様、施設利用者様、ご家族様に野菜を楽しんでもらおうと、看板を立てて野菜の説明を示してくださいました。「面白い名前の野菜(品種)やね」と声をかけてくださる患者様もいらっしゃいます。

↑より多くの患者様に作業してもらえるよう、農園の入り口には農園担当者が毎日「本日の可能な農作業メニュー」を掲示しています。

足元のコンディションのよい日ばかりとは限らないため、農園の入り口に患者様とスタッフ用の作業靴が整備されました。
↑足元のコンディションのよい日ばかりとは限らないため、農園の入り口に患者様とスタッフ用の作業靴が整備されました。

現場の声9
技術員として関わって

タキイ種苗株式会社 技術員 藤井隆 氏

京都大原記念病院グループ 総務部農園担当 榎並宏之氏

タキイ種苗(株)研究農場のOBです。退職後、シルバー農園教室、ゴーヤカーテンの普及の指導などを行っていました。私自身、4年前に入院することがあり、近くに気持ちを和ませる畑があれば病院生活がもっと楽になると感じていましたので、快く協力をいたしました。
2015年秋より病院のスタッフとタキイのプロジェクトメンバーが協力して畑作りと栽培計画を進めました。病院のスタッフは野菜作りの経験が少しはあるものの、ほとんど皆無。また、担当の仕事をしながらの野菜作りでしたので、最初は思うようにできませんでした。しかし野菜作りの成果が少しずつ出るようになると、皆に力が入るようになり協力しながら軌道に乗ってきました。
農作業をしていると、患者様やその家族の方から、「今、何をしているのですか」と、よく声を掛けられます。作物が育ってくると声がかかる回数も多くなってきます。みなさんに興味を持っていただけたことを実感します。リハビリテーションでの外周歩行訓練時に、周辺の畑の景色にも目を向けていただき、少しでも楽しく歩けると良いと思います。