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<推奨品種>
黄粒種で甘み抜群で作りやすい「ランチャー82」、
「キャンベラ86」や「キャンベラ90」
発芽適温: | 25〜30°C |
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生育適温: | 20〜30°C |
トウモロコシは中南米原産で、高温多日照を好み、イネやムギとともに世界的に広く栽培されています。完熟前に収穫する甘味種がスイートコーンとして生食用に栽培されています。短期間に大きく生長することや、光合成効率がよい作物であること、雌雄異花などの特色があります。
タネまき、育苗方法
7月の収穫をめざすなら、3月下旬から5月上旬ごろにタネまきをします。早くタネをまけば早く収穫できますが、3月下旬から4月上旬のタネまきの場合には、保温が必要です。
5月以降にタネまきしても十分に収穫できますが、収穫時期が真夏の高温乾燥期になると栽培管理が難しくなるので、4月中下旬のタネまきがよいでしょう。
タネまきの方法は、袋にタネを2カ所に3粒ずつ、2cmくらいの深さに直接まくか、ポットへの直まきが簡単です。
被覆肥料を含む培養土をポットに9分目程度入れ、指で1cmほどの深さに穴をあけて、その穴に1ポットに2〜3粒のタネをまきます。
その後、ジョウロで潅水して管理します。
タネまき後、ハトなどの鳥にタネを食べられることが多いので、寒冷紗などでまいた後を覆う方が安全です。
スイートコーンの間引き・ポット苗定植
袋に直接タネまきした場合、本葉が2〜3枚のころに、1袋当たり2カ所によい苗が1本ずつ残るように他の苗を間引きます。この場合、ハサミで切って間引くか、残す苗の株元を軽く押さえて他の苗をていねいに抜き取ります。そして、残した苗の株元に軽く土寄せをしておきます。
ポットにタネまきして発芽させた苗は、本葉が4〜5枚展開したころに、1袋に2本の苗を定植します。
トウモロコシは他株の花粉で受粉する場合が多く、10本以上育てないと受精しにくいといわれていますので、1袋2本植えの袋を2袋以上で並べて栽培します。
なお、甘さや色が異なる品種を隣接して栽培すると、その花粉の影響が果実に影響を与え、食味や品質が損なわれる場合もありますので、同じ品種で栽培した方がいいでしょう。
支柱立て
定植後のスイートコーンの生長は早く、次々に葉を大きく展開していきます。主茎の先端に雄穂がみられるまでには、トマトなどと同様に支柱を立て、潅水は株の生育に合わせて量を増やしていきます。
トウモロコシの主茎につく葉の数は15枚前後ですが、主茎の基部の地際の節から側芽が生長してきて、基部分枝(分けつ)がみられます。この分けつは、株の倒伏防止と収量増加につながりますので、取らずにそのまま残しておきます。
ヤング(ベビー)コーン収穫
雌穂が出現してきたら、1株につき最上の位置の雌穂を1つだけ残すようにして、その下の雌穂を、絹糸(けんし)が出てきたときに、主茎の葉を傷つけないようによく注意して取ってください。これによって株に残された雌穂の生長が促がされ、取り除いたものはヤングコーンとして利用できます。
絹糸をつけた雌穂の皮(包葉)をむいてヤングコーンを取り出すときに、この絹糸が雌しべの柱頭に当たり、この糸の1本1本がコーンの1粒1粒につながっていることが観察できます。
収穫
次はいよいよ最上節の位置に残しておいて大きく生長した本命の収穫です。
もぎたてのおいしさを得るためには、適期に収穫して、収穫後できるだけ早く食べることです。
収穫時期を決めるには、播種後の日数(「キャンベラ86」なら播種後約86日で収穫できる)や絹糸抽出(ちゅうしゅつ)後の日数を考慮します。苗を入手して苗から栽培を始めた場合には播種後の日数は不明ですし、育苗条件が異なることにより日数が違う場合がありますので、播種後の日数だけでは、収穫時期は決められません。
雌穂の絹糸抽出時期から収穫時期を判断する場合、早生の品種であれば絹糸抽出後20日目ごろが収穫適期になります。絹糸が出てきた日をメモしておき、その後の天候にも影響されますが、梅雨明けが早く、7月になって晴天の日が多ければ多少早く収穫し、梅雨明けが遅れるようであれば収穫時期をやや遅らせます。
また、上記の日数を考慮して、予定の日が近づいてきたら、絹糸の褐変を確認して、図のように実際に雌穂の先端部の皮(包葉)を少しはいで中の粒の様子を見ます。
先端部分の粒が白色や真珠色をすぎて黄色がかっていれば、そのスイートコーンは収穫適期であると判断できます。
スイートコーンのおいしさは、舌(歯)ざわり、味、香りなど総合的なものですが、まず、糖分の多いこと、風味の高いこと、水分、デンプン、硬さのほどよいものが総合評価としてよい食味につながります。
スイートコーンは収穫後、急速に糖分が減少します。しかも、貯蔵温度が高いほどその減少速度は速く、味が著しく低下しますので、植物体の温度が上がらない朝のうちに収穫して、すぐにゆでたり焼いたりして食べるか、冷蔵庫内に貯蔵してその日のうちに食べればおいしさもまた格別です。