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病害虫・生理障害
ナス
ナス半身萎凋病
データ作成年月日:2024/1/26
症状(診断)
初め植物体片側の下位葉で、片側の葉脈間に、周縁の不鮮明な淡黄色斑が現れ、しおれて葉縁が上方に軽く巻き上がるものが現れる。この症状はやがて葉の全体に及び、次第に上位葉にも及び、典型的な場合には、株の片側の葉がことごとくしおれて垂れ下がる。さらに病勢が進むと、株全体の葉がしおれて枯死するに至る。初期症状が現れた時から極端に結果しなくなる。
このような植物体では、茎・葉柄・根の維菅束が褐変している。
発生の仕組み
病原:糸状菌(かび) バーティシリウム ダーリエ
土壌伝染性病菌で、ナス、トマト、メロン、ピーマン、レタス、キクなど広範囲の双子葉植物を侵す多犯性病原菌。病原菌にはいくつかの系統があり、系統によって侵す作物の種類が異なる。ナス科を侵す系統では、ナスにのみ病原性を示す系統とナス、トマトの両方に病原性を示す系統、ピーマン、ナスに病原性を示す系統、ナス、ピーマン、トマトに病原性を示す系統に分類される。
土壌中の微小菌核から、ナスの根に感染、維管束を侵して(維管束が淡褐色に変色する)、植物体に蔓延、葉、葉柄、茎を侵して、多数の微小菌核を形成する。これが土壌中に残存し、翌年の感染源になる。菌核は土壌中で長期な10年近く生存するされ、発病を繰り返すと土壌中に微小菌核が蓄積し、作物が作れなくなる。
病原菌の生育適温は、25〜30℃で、半促成ナス栽培では、4月下旬か5月上旬頃から発生が認められ、7月上旬まで続くが、高温時には発病が減少、被害株の病徴も軽減する。しかし、9月中旬以降、気温が低下すると再び被害が発生する。pHの高い土壌で発生が多い傾向がある。湛水することで病原菌の菌核は死滅しやすく、水田輪作では発生は少ない。土壌伝染性で苗などから圃場に持ち込むことがある。また、トマトでは種子伝染するとされ、ナスの場合も被害株からの採種には注意する。
ナスでは、抵抗性台木が知られ、トルバム・ビガー、トナシムは、高い抵抗性を示すが、ヒラナス台木は発病しやすい。
防ぎ方
発病を繰り返すごとに病原菌が土壌に蓄積し、被害を大きくする。ナスおよびナス科作物の連作を避けることが大切。有効な防除対策は、水田との輪作と接ぎ木栽培である。水田との輪作ができる圃場では、発生は軽微で、湛水によって病原菌の伝染器官である微小菌核が死滅することによる。また、半身萎凋病に対して耐病性のある台木(トナシム、トルバム・ビガーなど)を使うことで被害の回避は容易である。
土壌消毒剤としては、バスアミド微粒剤、キルパー、トラペックサイド油剤、クロルピクリンくん蒸剤(クロールピクリン、クロピクテープ、クロルピクリン錠剤)が利用できる。
太陽熱土壌消毒、土壌還元消毒も有効である。
ご注意
文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。
農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。
農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。
本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。
病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。