調べる

野菜

病害虫・生理障害

戻る

トマト

チッソ欠乏

データ作成年月日:2003/02/03

写真1

写真2

写真3

写真4

写真5

症状

育苗期のチッソ欠乏では、株全体の生育が抑制されるが、特に上位葉の生育が抑えられ、小葉化する。下位葉は黄化症状を示し、品種によっては葉脈にアントシアン色素が出現する(写真1)。写真2の手前は、本圃においてオガクズの施用でチッソ飢餓になったトマト。写真3のように黄色いものもあるが、写真4のようにアントシアンも出てくる。写真5の左は正常、並べてみるとチッソ欠乏は葉色が特に薄いのが分かる。

原因

チッソ施肥を忘れることはまずない。土づくりを急ぎ、未熟なオガクズが大量に入った牛糞堆肥を多量施用して、ハウス全体がチッソ飢餓になった農家もある。チッソの少ない有機物は分解の際、土壌中のチッソ成分を奪ってしまう。このことをチッソ飢餓というが、生わらなどでも同様の現象が生じるので注意のこと。

診断法

葉色が薄い。よく見ると下位葉から黄化が始まっている。これはチッソ不足になると生育に最も必要な新葉部へ旧葉のチッソが転流していくため。元素にはこのように再利用されやすいものと、ほとんど再利用されないものがある。後者は新葉(上位葉)より障害が出る。

対策

チッソの施肥。硫安でも尿素でも普通の化成肥料、有機肥料でもよい。これらチッソ肥料は、畑土壌では微生物により分解され、まず無機態のアンモニア態チッソに、そして、硝酸態チッソになり、両者が植物に吸収される。有機物自身がそのまま作物に直接吸収されることはほとんどない。

ご注意

生理障害は、一般には肥料要素の欠乏または過剰により発生しますが、その原因に関しては、単純にその要素のみが欠乏または過剰の場合以外にも、他の肥料要素の多少が影響して起こる場合や、土質やpHなどの土壌条件が影響する場合、温度や水分など気象条件が影響する場合など、さまざまな環境条件が重なって発生している場合が多く、簡単には特定できないことが多々あります。

従って、その対策を講じる場合は、土壌分析を行うなど圃場の土壌条件を把握した上で行うようお願いします。

また、症状が生理障害に類似した病虫害もあり、生理障害との区別が難しい場合があります。詳しくは、農協や公共の指導機関にご相談ください。