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病害虫・生理障害

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トマト萎凋病

データ作成年月日:2023/1/25

写真1(HK)

▲地上部の症状

写真2(HK)

▲地上部の症状 黄化、萎凋症状はしばしば片側に現れる

写真3(HK)

▲維管束の褐変

症状(診断)

高温時に発生する。初め、植物体のいずれか一方の側の下葉が日中しおれて夜間に戻る状態を繰り返す。しおれは徐々に上部に、またほかの側の葉にも及び、しおれを追うように葉色は黄色に変わる。成育は極端に遅れ、着果も不良となる。早くから萎凋、黄化した葉はやがて枯死し、落葉する。地際部から萎凋、黄化した位置くらいまでの茎と葉柄の維菅束は褐変し、かたく木化している。太い根の初期には外見上さしたる変化が見られず、部分的に維菅束が褐変している程度であるが、末期には根全体の維菅束に褐変が及ぶ。

発生の仕組み

病原:糸状菌(かび) フザリウム オキシスポラム f.sp.リコペルシシ
本病原菌には、抵抗性品種に対する病原性の異なる3系統(レース1、2、3)の存在が知られている。
本病原菌は典型的な土壌伝染性病原菌である。本病によって枯死した植物体の体内には、無数の厚膜胞子と呼ばれる、不良環境に耐え、長期間生存する器官が形成され、植物体が枯死して、腐敗した後も、土壌中で数年から十数年間生存する。厚膜胞子の存在する土壌に宿主作物が栽培され、根が土壌中に発育して厚膜胞子の近傍に到達すると、厚膜胞子が発芽して根に侵入し、導管に到達して増殖し、植物は菌体による導管閉塞と病原菌のつくる萎凋性毒素のために、上記のような症状を呈する。病原菌は基本的には土壌伝染のほか、種子伝染する。
発病適温は27〜28℃である。

防ぎ方

本病は、台木に耐病性台木(ガードナー、グリーンガードなど)を利用することで発病を軽減できる。発病を繰り返すと、土壌中に病原菌が蓄積し、被害が大きくなる(連作で被害が大きくなる)。発病圃場でトマトを連作する場合には、土壌消毒する。土壌消毒には、ハウス栽培では太陽熱消毒が有効で、このほか、蒸気や熱水による土壌消毒もできる。土壌への有機物施用による土づくりは本病の発生、被害を軽減する。
薬剤による土壌消毒では、クロルピクリンくん蒸剤(クロピク80、クロピクテープ、クロルピクリン錠剤)、バスアミド微粒剤などのダゾメット粉粒剤、キルパーなどが利用される。

注.2003年の改正農薬取締法施行に伴い、「トマト」と「ミニトマト(直径3cm以下のもの)」とは、農薬登録にかかる薬効・薬害の取り扱い上、別個の作物分類に属することになりました。したがって、「トマト」に登録のある農薬を「ミニトマト」に使用される場合は、予め「ミニトマト」に対する登録の有無をご確認ください。

ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。

農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。

本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。

病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。