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トマト黄化葉巻病

データ作成年月日:2024/1/26

写真1(AK)

▲上位葉は小型化し黄化して葉縁が内側に巻き込む

写真2(AK)

▲上位葉は小型化し黄化して葉縁が内側に巻き込む

写真3(HK)

▲茎頂部の黄化症状

症状(診断)

上位葉の葉縁および葉脈間の黄化と葉巻(上向きおよび下向き)と縮葉が顕著である。
これにともない、上位葉の小型化、葉柄の内側への巻き込み、節間の短縮、株の萎縮が見られる。このため、症状の現れた節位から上は茎葉が全体に黄化し、著しく生育が抑制される。発病株では、早期に落花(果)し、減収が著しい。

発生の仕組み

病原:ウイルス
 (1)トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)
 (2)トルコギキョウ葉巻ウイルス(LELCV)
トマト黄化葉巻病は、1996年、静岡県の施設栽培トマトで発見され、同年、愛知県、長崎県でも発生が確認された。トマト、ミニトマト、ヒャクニチソウ、トルコギキョウ、インゲン、ピーマンなどに感染することが確認されており、国内で広く発生が認められる。虫媒伝染し、タバココナジラミにより媒介(永続伝搬される)される。また、ノゲシ、エノキグサなどの雑草ほか、11科31種の植物に感染するとされるが、寄主範囲は狭い種類と考えられる。

防ぎ方

発生が認められる施設の場合:発病株を処分する。タバココナジラミの徹底防除(コナジラミ類の項参照)。施設の開口部を0.4mm目合い以下のネットで覆う。栽培は施設を開放する時期までに終了する。
発生が認められない施設の場合:発病株の早期発見。施設の開口部を0.4mm目合い以下のネットで覆う。タバココナジラミの徹底防除。
タバココナジラミバイオタイプQには薬剤耐性があり、多くの薬剤で効果が低下している。黄色粘着補虫シートなどの利用、生物薬剤の利用も有効である。
育苗時の管理:シルバーリーフコナジラミの徹底防除。隔離栽培。発生地では、無発生地で育苗された苗を導入する。

注.2003年の改正農薬取締法施行に伴い、「トマト」と「ミニトマト(直径3cm以下のもの)」とは、農薬登録にかかる薬効・薬害の取り扱い上、別個の作物分類に属することになりました。したがって、「トマト」に登録のある農薬を「ミニトマト」に使用される場合は、予め「ミニトマト」に対する登録の有無をご確認ください。

ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。

農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。

本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。

病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。