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病害虫・生理障害

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トマト

トマトモザイク病

データ作成年月日:2023/1/25

写真1(WN)

▲CMVによる株全体の病徴

写真2(YT)

▲CMVによる果実のえそ

写真3(WN)

▲ToMVによる葉のモザイク

写真4(WN)

▲ToMVによる茎のえそ

症状(診断)

トマトのウイルスは数種類あり、しかも、しばしば複合して感染する。その上、感染する時期の違い、環境の違いなどにより、さまざまな症状が現れるので、症状から病原ウイルスを特定するのは極めて困難である。以下にモザイク症状を現わすウイルスとその症状を記す。

(1)トマトアスパーミィウイルス(TAV)
茎葉と果実の激しいえそ。軽度のモザイク。

(2)キュウリモザイクウイルス(CMV)
葉のモザイク。糸葉、茎葉や果実のえそ。株の萎縮。

(3)ジャガイモXウイルス(PVX)
葉の軽微なモザイク。

(4)ジャガイモYウイルス(PVY)
葉の軽微なモザイク。ほかのウイルスとの重複感染で激化。

(5)タバコモザイクウイルス(TMV)、トマトモザイクウイルス(ToMV)
葉のモザイク。茎葉や果実のえそ。低温期に軽度の萎凋。

(6)チョウセンアサガオコロンビアダチュラウイルス(CDV)
えそを伴うモザイク、葉脈えそを伴う、ひも状ウイルス(トマト退緑モザイクウイルス)。

発生の仕組み

主要な伝染様式  

TAV
ナス科・キク科・アカザ科の感染植物からのアブラムシ伝染。
CMV
宿主範囲は広く、感染植物からのアブラムシ伝染。
PVX
ジャガイモなど感染植物からのアブラムシ伝染、接触伝染、栄養繁殖による伝染。
PVY
宿主範囲は広く、感染植物からのアブラムシ伝染、アブラムシによる非永続伝染、栄養繁殖による伝染。
TMV、ToMV
種子伝染のほか、移植・芽かき・誘引・収穫などの管理作業による、感染株からの手や刃物による接触伝染。虫媒伝染はしない。土壌伝染する。
CDV
アブラムシによる非永続伝搬。アカザ、ナス、ヒユ科、トマト、ペチュニア、ダチュラに感染する。

防ぎ方

アブラムシによって伝染するウイルス病に対しては、シルバーマルチやシルバーテープを張ってウイルスを保毒したアブラムシの飛来を防ぐほか、殺虫剤による防除を行う(アブラムシの項参照)。健全種子を播種する。ToMVの土壌伝染防除のため、収穫後の残さは集めて処分し、少なくとも1年以上の輪作を行う。また作付け前に、蒸気による土壌消毒を行う。ToMVの接触伝染の防除は、管理作業の前後に石けんで手を洗い、刃物は洗浄する。

注.2003年の改正農薬取締法施行に伴い、「トマト」と「ミニトマト(直径3cm以下のもの)」とは、農薬登録にかかる薬効・薬害の取り扱い上、別個の作物分類に属することとなった。したがって、「トマト」に登録のある農薬を「ミニトマト」に使用する場合は、予め「ミニトマト」に対する登録の有無を確認すること。

ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。

農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。

本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。

病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。