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低温、寡日照環境で経過する、晩秋から早春にかけての施設で発生する。初め、茎葉が晴天の日中にしおれ、夜間は戻る状態を繰り返し、やがて黄化、褐変枯死に至る。この症状が萎凋病のように片側に激しく現れることはない。着果は初期には見られるが、病勢の進行にともない着果しなくなる。茎の髄部は空洞化し、外部から押さえるとへこむようになる。
根では、初期には細根が褐変して脱落し、細根の付け根の部分に長紡錘形の黒褐色病斑が形成される。やがて褐変は根系の全体に及び、激しい場合は、主根から地際部の茎も黒褐変、腐敗して脱落する。根の維菅束はすべて褐変、木化する。主茎の維菅束褐変は普通、基部15cm程度にとどまるが、寡日照下では、時に上部まで及ぶ。

病原：糸状菌（かび）　フザリウム　オキシスポラム　ｆ．sp．ラディシス-リコペルシシ
本病原菌は典型的な土壌伝染性病原菌である。本病によって枯死した植物体の体内には、無数の厚膜胞子と呼ばれる、不良環境下で、長期間生存する休眠器官が形成され、土壌中で数年から十数年間生存する。発病圃場でトマトを栽培すると、厚膜胞子が発芽して根に侵入し、導管内で増殖し、トマトは菌体による導管閉塞と病原菌の作る萎凋性毒素のために、上記のような症状を呈する。病原菌は土壌伝染のほかに種子伝染する。

本病に対しては、耐病性台木品種（グリーンフォース、グリーンセーブ）があり、接木栽培で被害の軽減が図れる。低温期に発生する萎凋性病害で、萎凋病同様、土壌伝染性病害で、発病を繰り返すことで被害が大きくなり、トマトを作れなくなる。
被害圃場における、土壌消毒の方法として太陽熱・熱水・蒸気が有効である。
土壌消毒剤には、バスアミド微粒剤、ダブルストッパーが利用できる。

注．2003年の改正農薬取締法施行に伴い、「トマト」と「ミニトマト(直径３cm以下のもの)」とは、農薬登録にかかる薬効･薬害の取り扱い上、別個の作物分類に属することになりました。したがって、「トマト」に登録のある農薬を「ミニトマト」に使用される場合は、予め「ミニトマト」に対する登録の有無をご確認ください。