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初め、茎の支柱への誘引部や葉柄基部の摘芽跡などが、光沢を失い水浸状に黒ずんでくる。病勢が進むと変色部は茎を取り囲み、髄部にも及び、上下に進展する。茎の内部組織は軟腐崩壊して、押さえると容易に割れて白濁した汁液が出る。さらに進むと、皮層部のみを残して内部は腐敗消失し空洞化する。ついには皮層部は縦に割れて、茎葉は萎凋枯死する。葉柄が侵されると黒褐変して空洞化し、縦に割れて葉は下垂する。

病原：細菌　ペクトバクテリウム　カロトボラム
土壌伝染性細菌病である。本病原細菌は雑草根圏に生息する土壌常在菌であるが、極めて広い範囲の作物、雑草を侵し、軟腐症状を起こす。
本病原細菌は潅水や降雨による土壌のはね上がりでトマトに移り、その生育にともなって葉面で増殖し、傷口・水孔などから体内に侵入し、急速に増殖して組織を軟化、腐敗させる。
土壌水分が多く、空気湿度も高い条件で発生しやすい。強風、軟腐病に効果のない農薬散布や除草・摘芯・整枝などの管理作業により茎葉に傷がつくと発生しやすい。降雨は病原細菌の飛散を助ける。温暖・多雨の年は発生が多くなる。多肥栽培により植物体が軟弱に育つと発生しやすい。

被害の多い圃場では、連作を避ける。害虫の食害や作物の傷口から感染して広がる。虫による被害を防止する。また、露地栽培では、マルチにより土のはね上がりを防止する。
薬剤防除：トマト・ミニトマトでは、クプロシールド、コサイド3000、Ｚボルドーや生物薬剤のマスタピース水和剤、ラクトガード水和剤、カスミンボルドー、カッパーシン水和剤が利用できる。

注．2003年の改正農薬取締法施行に伴い、「トマト」と「ミニトマト(直径３cm以下のもの)」とは、農薬登録にかかる薬効･薬害の取り扱い上、別個の作物分類に属することになりました。したがって、「トマト」に登録のある農薬を「ミニトマト」に使用される場合は、予め「ミニトマト」に対する登録の有無をご確認ください。