ソルガム
ソルガムの緑肥作物としての利用
- 一般的特性
- 一般に、ソルガム属には5つのタイプがあるが、緑肥にはスーダン型ソルガムとスーダングラスが適している。これらのタイプは、茎が細いが草丈が高く、分げつ数も多い。生育が早く、再生力も強いので、短期間に多くの有機物の生産ができる。
- 播種時期
- 中間・暖地:5〜8月
冷涼地:5〜7月
日平均気温が15℃以上になれば播種できる。
- すき込み時期
- 後作の定植または播種の約1カ月前(露地)にすき込む。ハウス内では15日以前にすき込む。
ソルガムの栽培期間が80日以上になる時は途中で刈り取り、再生させて利用するのが有利。刈り取ったソルガムは乾草にも利用できる。
- すき込み方法(EC値の低い土壌)
- トラクターで立毛のまますき込む。
チョッパーで5cm位に細断し、生のまますき込む。
細断したものを、2〜3日乾燥させてすき込む。
- すき込みの注意点
- ソルガムは根張りがよいので、なるべく深く均一にすき込む。
すき込み時に、10a当たり石灰チッソを40〜60kg散布すると、茎葉の分解が促進される。
塩類濃度(EC)が1.5以上を示す後地土壌へのソルガムのすき込みは、塩類障害を助長する危険性がある。このような土壌では茎葉を外へ運び出し、養分の不足している土壌にすき込む(イチゴなど塩類に敏感な作物は、ECを0.5以下に抑える)。
茎葉が柔らかく、すき込みやすい!バンカークロップにも好適!
特性
- 草丈が1.2〜1.5mと低く、扱いやすい
- 強稈で茎が太く、耐倒伏性が強い。
- BMR(ブラウンミドリブ・Brown Mid Rib)の品種で、植物繊維中のリグニン含量が少なく、茎葉が柔らかいため、すき込みやすく、また、すき込み後は分解されやすい。
- ナスなどのバンカークロップとして利用した場合、他の品種に比べて有益な虫がつきやすい。
- 晩生で出穂が遅いため、バンカークロップとして利用した場合、収穫物に花粉が付着しにくい。
栽培ポイント
播種期 |
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播種量 |
1〜2kg/10a。 |
施肥基準 |
10aあたりチッソ10〜12kg、リンサン12〜15kg、カリ7〜8kg。 |
すき込み方法 |
チョッパーやハンマーモア・フレールモアなどで細断し、プラウやロータリーですき込む。作物が小さい場合や、やわらかい場合は、ロータリーでそのまますき込むこともできる。 |
草丈が低くハウス内緑肥に!ナス等の障壁栽培にも好適!
特性
- 草丈が低く、ハウスの中でも利用できる。
- 強稈で耐倒伏性が非常に強い。
- 農薬の飛散防止効果や、ナスの障壁作物、圃場の風よけに好適。
- 子実が登熟するとタンニン成分を含んで茶色くなり、鳥があまり寄ってこない。そのため、作物が鳥のふんなどで汚れることも少ない。
栽培ポイント
播種期 |
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播種量 |
1〜2kg/10a。条まきとし、3cm程度の覆土をして鎮圧する。 |
ソルゴー矮性品種の使い分け(緑肥利用)
サツマイモネコブセンチュウの密度を抑制!
特性
- 初期生育が早く、播種後は約60日で出穂する。
- 土壌適応性がきわめて広く、非常につくりやすい。
- 根張りがよく、耐干性・耐倒伏性に優れる。
用途
- 【牧草】
分げつ力および刈り取り後の再生力が良好。
糖分含量が高く、サイレージ品質も優れる。
- 【緑肥】
サツマイモネコブセンチュウやキタネコブセンチュウの密度を抑制する。
吸肥力が強いため、圃場の塩類糖度を下げる「クリーニングクロップ」に適する。
栽培ポイント
播種期 |
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播種量 |
- 牧草2〜4kg/10a → ロールベール利用には、厚まきして稈を細くする。
- 緑肥4〜6kg/10a
- ※条まきかバラまきし、3cm程度の覆土をして鎮圧。
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- ※「ラッキーソルゴー」はタキイ種苗(株)の登録商標です。
初期生育が旺盛!吸肥力が強い!
特性
- 細茎で分げつ数が多く、有機物量が豊富。
- 吸肥力が強く、クリーニングクロップに好適。
- 繊維が柔らかいため、耕うん機でも立毛のまま楽にすき込める。
栽培ポイント
播種期 |
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播種量 |
- 牧草2〜4kg/10a → ロールベール利用には、厚まきして稈を細くする。
- 緑肥4〜6kg/10a
- ※条まきかバラまきし、3cm程度の覆土をして鎮圧。
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ソルガムのすき込みによるレタスの収量と品質
極晩生の超多収タイプ!
特性
- 晩生種の中では比較的初期生育が早い。
- 茎が太く、大型品種の中では耐倒伏性が強い。
- 出穂が遅いので、長期間の障壁として好適。
- 草丈が高いので、大きな作物への農薬散布や果樹園などでのスピードスプレーヤでの散布にも対応できる。
栽培ポイント
播種期 |
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播種量 |
4〜6kg/10a。条まきかバラまきとし、3cm程度の覆土をして鎮圧する。 |
環境ストレスに強く有機物量が豊富!風よけにも向く大型ソルゴー!
特性
- 極晩生。出穂時の草丈は 3m以上に達する。
- 晩生種の中では初期生育が早く、生育旺盛。
- 高温・乾燥など厳しい環境ストレスに強く、安定多収が見込める。
- 根張りがとくに強く、耐倒伏性に優れるため、圃場の風よけや果菜類の障壁栽培などに好適。
栽培ポイント
播種適期 |
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播種量 |
4〜6kg /10a
- ※条まきかバラまきし、3cm程度の覆土をして鎮圧。
- ※障壁利用の場合:条間60cm、2条まき、株間15〜20cmとする。(必要種子量:1m当たり1〜2g)
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グランデソルゴー栽培事例
● 試験地:長野県 (播種日:5月26日 撮影日:9月15日)
- 出穂が「晩生種」に比べさらに遅い
- 適期まきの場合、草丈は4mに達する
⇒ 多収、出穂が遅く虫害リスクの軽減◎
茎が太い多収タイプ!
特性
- 分げつ数は少な目だが、茎が太く豊富な乾物収量が得られる。
- 根張りが強く、圃場の塩類糖度を下げるクリーニングクロップや農薬の飛散を防止するドリフトガードクロップに適する。
栽培ポイント
播種期 |
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播種量 |
- 牧草散播:2〜3kg/10a
条播:1〜2kg/10a
- 緑肥4〜6kg/10a
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