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キュウリ

種
  発芽
発芽
  花
  なり姿
なり姿

キュウリの家系図(出身地)

  ヒマラヤ山麓からネパール辺りにかけて分布した野生種が、長い年月で栽培品種に進化したものと推定されます。西部アジアでは3000年以上前から栽培されていたと考えられていますが、ヨーロッパへの伝播は紀元前数世紀のことです。中国はアジアにおけるキュウリの改良の中心地で「胡瓜」と書き、シルクロードを経て紀元前120年ごろに入っています。日本へは10世紀以前に中国から入りました。


キュウリの分類

英国温室型 植物体は大型、果実も長大。トゲは小さく果面は鮮緑平滑、果肉厚く、肉質やわらかく一般にスライス用です。温度適応性は春キュウリに似ています。単為結果性もあるので施設栽培に適します。
スライス型 ヨーロッパやアメリカなどで一般に栽培されてきましたが、露地用品種群で地這い作りに適します。果実は短いものが多く、果面シワ少なく主にスライス用です。
ピクルス型 葉は小型で節間長く、分枝性強い早生種。果実短小で肉質は緻密です。
華南型 茎太く、葉も大型、根群密で移植に強いタイプです。高温高湿期での栽培が可能で、わが国の栽培暦は古いものです。
華北型 茎が細く、節間や葉柄長く、繊細な感じ。低温に弱いが、高温・長日でも比較的安定して雌花を着生します。わが国では夏栽培に多く取り入れられました。

わが国のキュウリの品種分類

(藤枝)
タイプ 代表品種
華南型 半白 早生節成り、相模半白、高井戸、淀節成り、白疵
青節成 青節成、針ヶ谷、落合、日向2号
青長 青長、青台
地這い 土田、霜知らず
春型雑種 毛馬、刈羽、金沢、聖護院、泉春、彼岸節句
夏型雑種 台湾毛馬、芯止、平和、夏節成り
華北 四葉、山東、北京、支那三尺
ピクルス 酒田

キュウリの特性

  一年生のつる性草本で、低温に弱く非耐凍性です。したがって霜には極めて弱い作物です。
  雌雄同株で節ごとに単性花をつけます。生態分化の著しい作物で、わが国のキュウリは華南ならびに華北のキュウリに由来し、前者は春キュウリに、後者は夏キュウリとして発達しています。さらに両者の特性を備える雑種群も成立し、周年栽培を容易にしています。
  わが国におけるキュウリは卸売市場における取扱金額の特に多い重要野菜となっています。
  キュウリの栽培労力は10a当たり130〜150人程度とかなり多く、収穫・選別・出荷で全体の半分を占めています。ついで整枝、薬剤散布、潅水などの管理作業です。この収穫労力が栽培面積決定の基準となっています。なお、キュウリは気象条件や管理のよしあしで作柄が不安定になりやすい作物です。


キュウリの住みやすい環境

発芽
  15〜40℃の範囲で行われますが、最適温度は25〜30℃です。
生育適温
  昼間22〜28℃で、夜間17〜18℃、生育可能温度は10〜35℃です。凍死温度は0℃で、ほとんど生育しなくなる生活限界温度は7℃。10℃以下では生育が止まり薄い霜でも被害を受けます。また35℃以上でも生育が止まります。育苗中、生育初期の低温は雌花の着生が異常に増加し、生育不良となり、かんざし症状を起こします。
  根の生育適温(地温)は20〜23℃です。
光飽和点
  4〜6万ルクスでトマトに比べると低いです。しかし光量が不足すると生育や側枝の発生が悪くなり曲がり果が発生します。
土壌酸度
  キュウリの根の酸素要求量は大きく、乾燥にも多湿にも弱い。根系は極めて浅く、表土から15cm程度の所に広く分布しますが、有機質を十分与え、適湿にすれば比較的土質は選ばずできます。土壌pHは5.5〜7.2が適当です。腐植質埴壌土でEC1.5ms/cm程度で、沖積埴壌土では1.2ms/cm程度で生育阻害されます。


キュウリの花芽分化

  雌花、雄花の決定は固定したものではなく、育苗中の特に温度と日長の影響を強く受けます。
  低温・短日で雌花の着生、着果が多く、着生節位も低くなり、高温・長日では雄花が多く着生し、飛び節となります。


キュウリの果実の発育障害

  日射量の不足、低温、土壌養水分の不足などにより、茎葉の発達の悪い場合や高夜温管理や養水分過多により茎葉が過繁茂となった場合に果形が乱れやすい。
  果実に発現する苦みはククルビタシンCという一種の配糖体で低温や日照不足、養水分の吸収不足、チッソ過多などが主な原因といわれています。ただし最近のキュウリでは苦みはほとんど発生しません。


キュウリの作型

(稲山)
作  型 栽培的特徴 品種に要求される条件
促成栽培 育苗期間が低温少日照で、収穫期に向かって温度・日射量ともに上昇傾向の作型。 多少飛節性を示すものが栽培容易。低温肥大性、果形安定性。
半促成栽培 促成とほぼ同傾向の気候下の栽培で温度・日射量などの条件はよいが、施設・装置は軽装備で厳しい環境条件。 初期収量の関係から低温肥大性、果形・果色の安定した品種。
トンネル早熟栽培 半促成栽培同様。 低温伸長、早生性で草勢の強い品種。
夏秋栽培 収穫期が盛夏期で気象条件に左右される。 耐暑性で草勢の強い品種。
ハウス抑制栽培 春作との組み合わせの作型、高温長日下での育苗。 雌性型夏キュウリ、尻太になりにくい。
越冬栽培 関東での作型。9月播種で最も難しい。 耐低温。果形の乱れにくい品種。

関連情報

  • 品種カタログ
  • 病害虫・生理障害情報
  • 栽培マニュアル
  • 料理レシピ
  • 資材一覧