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野菜なんでも百科

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カブ

種
  発芽
発芽
  花
  なり姿
なり姿

カブの学名

Brassica campestris L.
Brassicaは料理するの意。


カブの家系図(出身地)

  カブはアブラナの変種で、原産地はアフガニスタンと地中海沿岸を起源とする二元説や、一元説、多元説があります。
  世界でのカブの栽培は欧州全域からロシアに多く、小アジアからペルシヤ・アフガニスタン・インドおよび雲南・四川に分布し、華南におよんでいます。


カブが日本に上陸したのは?

  中国を経由して古い時代に渡来しました。日本書紀(720年)にも記載されています。
  カブはダイコンとともに凶作時の準主食とされる重要な野菜で、各地に多くの品種が成立しています。
  カブには根が扁球形、球形、長形などあり、根色は白、淡緑色、紫紅色、紅色の品種があります。


世界のカブの分類

品種群 特  性
テルトウ群 野生種に近く、西ヨーロッパやトルキスタンでわずかに栽培。
切葉の西欧群 西ヨーロッパからロシア。切葉で毛茸が多い。
小アジア群 パレスチナ。毛茸が多く、地上部は紫赤色になる。
ロシア群 ロシアを中心にヨーロッパから西部シベリア。根は球形で黄色品種。
アフガニスタン群 切葉と全縁葉のタイプがあり、無毛で根形はさまざま。抽苔しにくい。
日本群 葉は全縁で立性、毛茸がない。最も進化した群。白色、抽苔しやすい。
全縁葉の西欧群 葉は全縁で毛茸がある。

わが国のカブ分類

和種系カブ品種

区分 根形 根 色 葉柄色 毛の有無 代表品種 類 似 品 種
地上 地下
白カブ 球形 G
W
W
W
W
W
W
W
W
W
W
W
(G)
(G)
(G)
(G)
(G)
(G)





近江
聖護院
天王寺
今市
博多据
酸茎菜
東寺
弘岡、大高、高農聖護院
尾張、谷口、萱津、屋島
寄居

松ヶ崎
紫カブ P
P
W
P
P
P

大藪
伊予緋
矢島
P
P
W
W
(G)
P

津田
日野菜
 
紅カブ R
R
R
R
R
R
(G)
R
R


−〜+
万木
蛭口
大野
 
豊蒔、飯島、米子
中長 R R R 彦根 小泉、入江

洋種系および中間系カブ品種

区分 根形 根 色 葉柄色 代表品種 類 似 品 種
地上 地下
白カブ W
G
G
W
W
W
(G)
(G)
(G)
金町小カブ
山内(福井)
佐波賀(京都)
覆下、樋ノ口、時無、早生、富山など
木田青(福井)金沢(石川)
遠山(山形)
G〜W
G
W
W
(G)
(G)
長カブ
遠野(岩手)
東京長、由利長(秋田)
暮坪(岩手)利賀青(富山)
紫赤
カブ
P
P
P
P
P
W
(P)
W
P
W
(G)
(G)
P
(G)〜P
(G)
舞鶴(京都)
諏訪紅(長野)
長崎赤(長崎)
温海(山形)
札幌赤
鷲見(岐阜)石徹白(岐阜)

戸矢(佐賀)和多田(佐賀)木引
八賀(岐阜)開田、末川(長野)
パープルトップホワイトグローブ
P
P
W
P
(G)
(P)
鳴沢(山梨)
南部長(青森)
野沢、木曽菜(長野)郡内(静岡)
館岩(福島)牛蒡野(山形)
紅カブ R
R
R
R
R
R
(R)
(G)
(G)
板取赤(福井)
飛騨紅(岐阜)
河内(福井)
山カブ(滋賀)
笊石(青森)
白川(岐阜)、利賀赤、五箇山(富山)
R
R
R
R
(G)
R
南部赤(青森)
次年子(山形)
人参(岩手)船津(岐阜)
信濃緋(長野)

注;W;白色、 G;緑色、 P;紫赤色、 ();淡色


主要品種の特性と来歴

天王寺カブ 大阪市天王寺で成立した古い品種です。中生の白カブで、根は扁円形、根径は15cm。根の整いがよくやわらかい肉質です。
聖護院カブ 京都市聖護院付近で古くから栽培され、わが国で最も大型の品種です。根径15〜20cm、重さは通常1〜1.5kg。大きいのは5kgにもなり、ス入りが遅い。千枚漬けに使用します。
金町小カブ 明治中ごろ、東京都金町付近で栽培され、根は扁球形〜球形で尻詰まりよく、白色で光沢があり美しい。
日野菜カブ 滋賀県日野町で江戸時代から栽培している尻細の長カブで、根長は約30cm。地上部は赤紫色で地下は白色で美しい。肉質はかたく、漬物用として各地で栽培されます。
温海カブ 山形県の温海町付近で江戸時代から焼畑で栽培しました。扁球形の赤紫カブで肉質はかたく、甘酢漬けが好評です。
飛騨紅カブ 大正初期に飛騨八賀カブの中から発見された紅カブです。根は地下部も紅色で、漬物は飛騨の名産です。
大野紅カブ 北海道大野町付近で成立した紅カブです。青果用のほか千枚漬にも加工しています。根も葉柄、葉身まで濃い紅色で、根は内部にもわずかに紅色が入ります。
万木カブ 滋賀県万木地方で江戸時代から栽培してきた紅カブを明治に改良したものです。根は球形で地上・地下部とも紅色です。肉質は色カブとしてはかたくなく、漬物やナマスに向きます。

カブの作型と品種

  作型 播種
(中間地)
収穫
(中間地)
小カブ 春まき トンネル1〜3/中 4〜5月
露地3/中〜6/中 6〜7月
夏まき 7〜8月 8〜9月
秋まき 9/上〜10/中 10〜1月
冬まき 10/下〜12/下 1〜3月
中大カブ 夏秋まき 8/上〜9/中 10〜12月
暖地〜2月

カブの世界で最初のF1

  昭和33年(1958年)長岡交配「早生大蕪」が、自家不和合性を利用した世界初のF1種(一代雑種)としてタキイ種苗から発表されました。


カブの住みやすい環境

発芽適温
  20〜25℃で、最低温度4〜8℃で発芽します。発芽は30℃以上では著しく劣ります。
生育適温
  15〜25℃と冷涼な気候を好みます。耐暑性は弱く、25℃以上の高温では根の肥大が悪く、病気も多発します。ただし低温にはかなり強い品目です。
土壌適応性
  火山灰土や有機質に富んだ壌土または砂壌土に優品を産します。
土壌酸度
  pH4.5〜8まで生育しますが、最適pHは6〜6.5です。
土壌湿度
  一般に土壌水分が豊富な時にカブは豊円形となり、土壌水分が少ないと縦長になります。


カブのトウ立ち(抽苔)はなぜ起きるか?

…種子春化型(シードプラントバーナリゼーション)
  種子が吸水し、動き始めた時点から低温感応しますが、幼苗期よりも、ある程度生育が進んだ大苗の方が敏感に感応します。一般には2〜13℃で感応します。
…離(脱)春化作用(ディバーナリゼーション)
  夜間低温に遭遇して低温感応しても、日中の高温によって春化が消去されることで、9℃の連続低温処理を24℃か30℃の高温で4時間または8時間中断すると、4時間で低温処理効果の1/2、8時間で3/4が消去されます。
  低温期のハウス栽培やトンネル栽培はこの特性を利用してトウ立ちを回避しています。


カブの根部異常症(生理障害)

裂根
  根部を取り巻く周皮の生育が、内部の木質部の肥大にともなわない場合や、肥大根の生育と茎部や直根の生育の不均衡から起きます。生育の後期に発生することが多く、在圃期間が長くなるほど増加し、収穫遅れの時に起こりやすくなります。特に土壌水分との関係が深く、生育初期に乾燥状態にあったものが、後半降雨や多潅水によって裂根を招くことがあります。
  対策としては、保水と排水のよい圃場を選び、有機質を多く施し、土壌の物理性を改善します。追肥は早めに行い、生育後半の急激な肥効は避け、適期収穫に努めます。
ス入り
  老化現象の一種で、収穫適期を過ぎたものに多く見られます。特に根部の肥大生長が停滞し始め、T/R率が1.0前後に低下したころから発生しやすくなります。やはり適期収穫が大切です。
赤芯症
  一般に赤芯といわれる現象はホウ素の欠乏によります。ホウ素が不足していなくても、乾燥したり、チッソ肥料の過剰で、バランスを崩した場合に発生します。元肥にホウ砂1kg/10aを施し、適湿を保ちます。生育期にはホウ砂の0.5%の葉面散布も有効です。


関連情報

  • 品種カタログ
  • 病害虫・生理障害情報
  • 栽培マニュアル
  • 料理レシピ
  • 資材一覧