ホウレンソウ
地ごしらえ、タネまき
粗起こしの時に、堆肥と苦土石灰を施してpHの調整をした後、元肥を全層に施用し、土をよく砕いて畝立てをします。
1m幅の畝なら2条にまき溝をつけ、薄く条まきにして、0.5〜1cm程度の覆土をしておきます。発芽がそろうまで、畝は乾かさないように注意します。夏まきの場合は、気温、地温とも高いため、寒冷紗などで日よけをして、発芽がそろうのを助けてやります。
-
土をよく砕かないと、タネがうまくまけない。
ひと昔前は常識だった浸漬処理による芽出し
ホウレンソウの種子は硬い果皮(果肉)に覆われているため、発芽しにくい性質をもっています。特に高温期は発芽ぞろいが悪いため、ひと昔前までは栽培者があらかじめタネをまく前に、一晩水に浸漬し芽出しを行ってからタネをまく工夫がありました。
現在は種苗会社の種子加工技術が向上し、たとえばタキイ種苗の場合はエボプライムといわれる処理が施され、発芽力が向上しています。
一晩中水につけたり流したりすることで、むしろ種子が窒息したり、病害対策のために施した種子消毒剤が流失し効果を失ってしまうため、最近の種子は浸漬処理による芽出しを奨励しなくなっています。
エボプライムって?
タキイ種苗で一部ホウレンソウに水分の吸収性を向上させるため、果皮をやわらかくする処理を行い、発芽ぞろいをよくしています。
播種前の催芽処理は不要です。
間引き、追肥、中耕
本葉が出始めたころ、特に込みすぎた所を間引き、本葉4〜5枚の時に5cm程度の株間に広げます。夏は苗立枯病が出やすいので、あまり早くから間引かないようにします。
間引きの後、条間に肥料溝をつけて肥料を施し、覆土しておきます。2回目の間引き、追肥の時に畝の表面を軽く削り、除草をします。強い降雨で畝がかたくなったら、表面を軽く耕して土をやわらげておきます。
収穫
-
都市部など夜間外灯が照らすような所では、早期にトウ立ちする場合があるので注意する。
栽培のポイント
1.酸性土を嫌うので土壌のpH調整を忘れずに
粗起こしのときに苦土石灰を施用し、pH調整をしておきます。
2.水はけの悪い畑は不向き
水はけ不良や乾きすぎの場所では、生育が妨げられるので、水はけのよい場所を選びます。
3.根は思いのほか深く伸びる
地上部に比べると根がよく伸びるので、堆肥をやや多めに施し、深く耕して根の伸びを助けます。
4.良好な株張りのためには厚まきにしない
薄まきにして間引きの手間を省き、株張りをよくします。
5.春まきはトウ立ちに注意
ホウレンソウは長日・高温でトウ立ちする性質を持っています。春まきでは晩抽性の品種など品種選びに注意しましょう。