ふ
ファイトトロン
人工気象室ともいい、室内の温度・湿度・炭酸ガスなどの気象条件を任意に自動制御できる施設のうち、植物を対象とするものをいう。室はガラス室として自然光を用いるものと、暗室として人工光を使うものとがある。
フィジー
カリフラワーの花蕾発育の後期に、高温、乾燥、栄養不良などのため、花蕾の発育が十分に行われなかった場合、苞が発達して鳥の毛羽の生えたような状態になる。これをフィジーという。
フィラー
フラワーアレンジメントにおいて、小さな花の総称のこと。つなぎの役目をする。
斑入り(ふいり)
斑とは葉や花びら、茎、幹に出る、本来の色と異なる色のこと。植物に斑が出ている状態を「斑入り」という。実生で遺伝する場合もある。
風化(ふうか)
岩石は長年月の間に、温度、雨、流水、波、結氷などによって、次第に崩れて細かな粒子になると同時に、成分にも変化をおこして土になる。この現象を風化という。
フェロモン
動物の体内で作られ、体外に分泌、放出され同じ種類の動物に各種刺激反応を起こさせる物質のこと。昆虫でよく知られ、性フェロモン、集合フェロモンなどがあり、環境汚染のない新しい農薬として注目されている。現在ハスモンヨトウやコナガの防除にフェロモンが利用されている。
不完全花(ふかんぜんか)
雄花と雌花が、たとえばキュウリやカボチャのように別々である場合、このような花を不完全花または単性花(たんせいか)という。
副花冠(ふくかかん)
ヒガンバナ科のスイセンの花には、のどの部分に濃黄色のさかずき形のものがついている。花冠そのものではなく、花冠のように見えるので副花冠という。
複合耐病性(ふくごうたいびょうせい)
2種以上の耐病性を持つことをいい、トマトの複合耐病性としては、半身萎ちょう病の他、萎ちょう病、タバコモザイクウイルス、葉かび病、条腐病、斑点病などの耐病性を兼ね備えた品種が発表されている。
覆土(ふくど)
種子をまいた上にかぶせる土を覆土という。土と砂を混ぜて用いることが多い。畑の土を直接用いる場合を友土覆土という。微粒種子の場合は覆土をしないことがある。
覆輪(ふくりん)
葉や花びらに入る斑模様のひとつ。周囲に地の色とは異なる色が入るものをいう。
富士砂〔ふじすな〕
培養土の基質材料として用いられる田土や畑土の排水性を良好にするために混合される川砂の一種。火山に由来し、粒径が粗く、山野草の植え込みやロックガーデン用に使われる。
節成育苗(ふしなりいくびょう)
主にキュウリの育苗についての用語である。節成り、つまり雌花が節ごとに着生するか否かは、遺伝的な能力と育苗環境の二つによるが、短日処理(たんじつしょり)とか低温によって、節成り苗を期待する育苗方法を節成育苗という。
節成性(ふしなりせい)
キュウリなどで、節ごとに着花結実する性質を節成性という。
腐植化作用(ふしょくかさよう)
土中の有機物が腐植に変化する働きををいう。
腐植質(ふしょくしつ)
土壌中において主として微生物作用により動植物遺体が暗色ないし黒褐色の無定形の腐植質となる。これが土壌の物理性(通気性、透水性、水分保持量、力学的性質)、土壌微生物に大きく関与する。
普通栽培(ふつうさいばい)
栽培の時期や、方法が自然の気象に合っている場合、これを普通栽培という。たとえば、トマトでは春から夏にかけてタネまきから収穫の全部を済ませる栽培が普通栽培であり、苗床で育苗して出来るだけ早く植え付けるのが露地早熟栽培、さらに育苗を早めてトンネルの中へ植え付けるのがトンネル栽培である。また、ハクサイを9月の上旬にまきつけるのは普通栽培であり、1月に温床で育苗し2月にトンネル内に植え付けるのはトンネル早出し栽培である。
ブッシュ状(ブッシュじょう)
丈低く株元から枝が密生して茂った状態。
ふところ枝
野菜ではナス、ピーマンのように、枝に開花結実させる作物では、内部に伸びた枝が混みすぎると日当たりが不良となって同化作用が鈍るため、開花や結実がうまく進行しない。このような内部に伸びた枝をふところ枝という。これは放任しないで積極的に切除して、株全体の採光や通風をよくすべきである。
不稔(性)(ふねん(せい))
花器(花粉や雌しべ)が正常でないため、受粉しても種子ができない場合、これを不稔といい、この性質を不稔性という。
踏込温床(ふみこみおんしょう)
育苗床のつくり方の一つで、ワラや落ち葉を醸熱材料(じょうねつざいりょう)として発熱させ、その熱を利用して床土を温め苗を育てる。
冬咲系(ふゆざきけい)
キンギョソウやスイートピーその他、無加温のガラス室や温室で栽培して、冬〜早春に出荷するのに適する系統をいう。冬の短日条件下でも開花する性質を持ったものである。
冬芽(ふゆめ)
植物の休眠の一形態。冬を越すために、芽をかたい鱗片で覆い、さらに、その表面をろう様物質(クチナシ)や樹脂(トチノキ)を分泌したり、毛を有したり(ヤナギ)して保護するものなどがある。
不溶性りん酸(ふようせいりんさん)
りん酸三石灰(Ca3P2O8)やりん灰石(Ca10P6O24F2)のように、水に溶けないりん酸をいう。
腐葉土〔ふようど〕
広葉樹の落ち葉が堆積して発酵分解され土状になったもの。保水性と通気性に富み他の用土と混合して使われる。弱酸性で多くの植物に適応する。
プライミング種子(プライミングしゅし)
塩類溶液に一定期間浸漬するなどの方法で、発芽過程を人工的に進めておき、発芽力を強化した種子。通常の種子に比べて早く一斉に発芽し、悪条件下でも発芽しやすい性質を持つ。トマト、タマネギなどで実用化されている。「プライミング」は「起爆剤」の意味。
ブラインド
分化した花芽が光線の不足などによって、その発育が悪く、完全な花にならない現象をブラインドといい、グラジオラスやアイリスなどは、栽培上、特にこの点について注意を要する。
プラグトレイ
プラグとはクサビの意味。小さい四角錐または円錐状に整形された連結ポットのことで、ピートモスなどの用土を入れて苗を育てる。
ブルームレス台木(ブルームレスだいき)
キュウリ用のカボチャ台木で、接ぎ木することによって果実の表面に出るブルーム(白い粉状のもの)の発生を抑え光沢を良くし、商品価値を高める、そのような台木品種として“エイブル”がある。
フレーム
板やワラなどで周囲を囲み、上をビニールで覆い、その中で育苗したり冬の寒さから保護するのに用いるものをいう。太陽熱を入れやすくする。
ブロッキング
育苗の後期に、株間に包丁などで切れ目を入れて断根する作業をいう。(断根・だんこん)。 苗の生育を一時的に鈍らせたり、苗の根張りを良くするために行われる。
ブロッチ
花びらに入る濃色の斑点。
不和合性(ふわごうせい)
不和合性とは、雌しべ、雄しべが共に健全でありながら受精しないことであり、自家受粉で受精しないことを自家不和合、他家受粉で受精しないものを交配不和合といい、受精する場合をそれぞれ自家和合または交配和合という。これは遺伝する性質の一つであって、キャベツ・ハクサイ・ダイコンなどの一代雑種はこの性質を利用して作られる。
分球〔ぶんきゅう〕
球根植物の繁殖の仕方で自然に数が増えること。その過程は鱗葉の基部にできた子球原基が肥大するもの(チューリップなど)や、発芽伸長した芽の基部が肥大するもの(グラジオラス)など、様々な形態がある。
粉剤(ふんざい)
粉末の形で散布する農薬のことをいう。飛散しやすいので風のない時に散布する。また、播種・定植時に畝面に用いて害虫の駆除を図る場合も多い。
分枝性(ぶんしせい)
枝の発生の数や強さは栽培にも左右されるが、もともと遺伝的な性質であり、この性質を分枝性という。
文人盆栽(ぶんじんぼんさい)
文人好みの樹形。軽妙、洒脱、風流な感じの幹。幹が細くて枝数も少ない盆栽。