農業・園芸用語集

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台刈り(だいがり)
地上茎を地際部より切り取って、残った地上部や地下部の芽の生育を促すこと。
耐寒性(たいかんせい)
低い気温に耐えて生育する性質を耐寒性という。
台木(だいき)
植物を接ぎ木する場合、根部に当たるものを台木という。例えば、スイカの双葉苗をユウガオの双葉苗に挿し込んで接ぎ木すると、根はつる割病(つるわれびょう)に侵されないし、地上の蔓には目的のスイカが実る。この場合のユウガオを台木といい、スイカを穂木(ほぎ)という。
なお、果樹などは病害防止の目的ではなく、品種の形質を正しく保持する苗木をつくる目的で、それぞれ必要な台木に接ぎ木する。
胎座(たいざ)
植物の子房内で、胚珠がついている部分のこと。
耐暑性(たいしょせい)
高温条件下であっても、生育障害が生じにくい性質のこと。温暖化が進む現代において、重要さが増している性質である。
堆肥(たいひ)
ワラ・落ち葉・その他植物有機物を微生物の働きで腐らせたものを堆肥と呼び、畑に混和して用いる。植物の生育に有効な多くの微量要素を含むが、単なる肥料成分のみでなく、土壌の物理性をよくし、土壌微生物の働きを高める、栽培上欠かせないものである。積肥(つみごえ)ともいう。
耐病性(たいびょうせい)
多くの病害について、作物の品種間で抵抗性のあるものと、さほどないものがある。抵抗性のあるものを耐病性と呼ぶ。
太陽熱消毒(たいようねつしょうどく)
夏季の栽培休閑期のハウスで、太陽熱を利用して土壌消毒と有機物施用の併用効果を得る方法。稲ワラなどの粗大有機物と石灰窒素を施用し、その畝間に水を溜めて古ビニールで覆い、ハウスを昼夜密閉状態にして20〜30日間高温処理する。
駄温鉢(だおんばち)
一般的に流通している鉢。1000℃で焼かれた陶器の鉢で、縁に釉薬が塗ってある。素焼き鉢と比べて、強度はあるが排水性はやや劣る。
高畝(たかうね)
耕土を高く盛り上げてつくる畝のこと。排水性がよくなるので、水はけが悪い、あるいは耕土が浅い圃場に向いた立て方である。高畝に対し、土地を整地するだけで立てた畝を、平畝という。
他家受粉(たかじゅふん)
ある株の花粉が、別株の雌しべに受粉すること。
高接ぎ(たかつぎ)
台木の高い位置で穂木を接ぐ、接ぎ木の方法のひとつ。さまざまな理由で、低い位置に枝を必要としない場合、太く丈の高い台木を別に用意し、その頂端部分に穂木を接ぐ。棚仕立てにしたフジやスタンダード仕立てのバラがこれにあたる。
高芽(たかめ)
洋ランのデンドロビュームは、本来花がつくべきところが、環境や栽培状態で葉芽に変わり小さなバルブができ、根も出てくることがある。この芽を「高芽」と呼ぶ。環境や栽培状態で、芽が花芽になるか、葉芽になるかは、デンドロビュームに限らず起こる。
抱き畝(だきうね)
2本の畝を合わせたような形の畝を抱き畝という。
托葉(たくよう)
葉の基部近くの茎あるいは葉柄に生ずる器官のこと。
立ち性(たちせい)
枝や茎が上に伸びる性質のこと。
田土(たつち)
荒木田土とも言う水田の土。沖積土で粘性があり、病害虫が少なく、保水、保肥力に優れ基本用土としてよく使用される。
脱窒現象(だっちつげんしょう)
植物に吸収されなかった硝酸は、浸透水とともに土中から流失するが、一部は脱窒菌の作用で窒素ガスになり、地上に出てしまう。これを脱窒現象という。また、稲ワラなど生の有機物を多量に投入する時に、腐敗を促すため石灰窒素を施すが、多量の窒素を要するので不足を起こす場合がある。これも脱窒現象である。
多肉果(たにくか)
トマトやみかんのように果実のうち、果皮が液質または多肉質のもののこと。湿果、液果ともいう。
多肉植物(たにくしょくぶつ)
観葉植物のうち、葉や茎の肥厚していることが特徴となっているものをいう。リュウゼツランやアロエなどがその一例である。
タネなしスイカ
作物の染色体の数は、普通二倍体である。スイカの生長点にコルヒチンをつけると、それから伸びる蔓は染色体が倍加されて四倍体になる。この四倍体と二倍体とを交雑すると三倍体ができる。この三倍体を育て結実させると、タネが正常に発育しないため、果実はできてもその中にタネのないスイカができる。
この理論によって改良されたスイカをタネなしスイカという。
多年草(たねんそう)
長年にわたって生育し、開花結実する草本植物をいう。球根類も広義では多年草に属するが、一応分けられている。多年草のうち低温に強く露地で越冬するキク・オダマキ・ミヤコワスレなどは、冬季地上部は枯死しても、地下部の根・地下茎などで越冬して、再び芽を出す宿根草である。
タバココナジラミ
ナス・トマト・キュウリなど多くの作物を加害する害虫である。吸汁によって作物を枯死させたり、トマト黄化葉巻病などの植物病原ウィルスを媒介する。多くのタイプが存在し、日本には在来系統の他、1989年に海外からの侵入が確認されたバイオタイプB、2005年に侵入が確認されたバイオタイプQが存在する。バイオタイプQは多くの殺虫剤に抵抗性を示すため、問題になっている。
単為結果(たんいけっか)
受精しなくても果実ができることをいう。普通はタネなしとなる。
単為結果には二種類あり、花粉やそれにかわる物質の刺激によって、受精せずに結果するものを他動的単為結果といい、受粉やその他の刺激なしに結果するものを自動的単為結果(キュウリ・バナナ・イチジク・ブドウ)という。
短果枝(たんかし)
花芽や果実をつける枝を結果枝というが、伸長の度合いによって、短果枝、中果枝、長果枝などに分けられる。結果枝の長いものほど葉芽の割合が多いので、充実した短果枝あるいは中果枝を多く発生させることが大切である。
短花柱花(たんかちゅうか)
ナスは生育が衰えると雌しべが短くなる。この花を短花柱花といい、受精しにくいので、たいてい落花してしまう。
断根(だんこん)
苗の周りにナイフなどを入れ根を切断する作業をいう。これによって、新根を多く発生させ、植え傷みを少なくする。(ずらし)
炭酸ガス施肥(たんさんガスせひ)
気密性の高い施設では、日の出後、作物の光合成が始まるとともに室内は炭酸ガス不足になる。この炭酸ガス不足を回避し、さらに最適濃度まで炭酸ガスを与えて植物の生長を活発化し、生育の増進・収量の増大・品質の向上を図ることをいう。晴天日は1,000〜1500ppm、曇天日は500〜1,000ppmがよい。なお、大気中の炭酸ガスは300ppmである。
炭酸同化作用(たんさんどうかさよう)
空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)を吸収して、光のエネルギーと葉緑素の働きで、いろいろな物質が植物体内に合成されること。
短日(性)植物(たんじつ(せい)しょくぶつ)
一定時間以上の暗期をもつ光周期(光を周期的に受ける時、その明期と暗期の組合せをいう)が与えられないと開花しない植物。暗期が明期より長いとは限らない。(長日(性)植物・ちょうじつ(せい)しょくぶつ)
短日処理(たんじつしょり)
短日の条件(暗期を長くする)を与えることで、短日植物の開花を早めたり、キュウリの節成性を高める、などの目的で使用する。
単子葉植物(たんしようしょくぶつ)
種子植物中、被子植物の二大群の一つ。特徴としては、発芽時の子葉が1枚、葉脈は一般に平行で、茎の維管束は不規則に散在、花の各器官は主として3またはその倍数。イネ科・ユリ科・ラン科などの草本類がその大部分を占めるが、タケ、ヤシなど高木状になるものもある。←→双子葉植物。
単性花(たんせいか)
不完全花(ふかんぜんか)と同意語。1花中に雌しべか雄しべのどれか一方だけしかない花。
炭そ病(たんそびょう)
葉・茎・果実に、それほど小さくない黒い病斑をつくり枯死させる病害で、発生すると被害の進行はかなり速い。
炭素率(たんそりつ)
有機物中の炭素量を窒素量で割ったものでC / N率ともいう。温床の踏み込みは適当な発熱がその要点であり、それに大切なのが踏み込む材料の炭素率である。C / N率が30ぐらいのときに発熱が適度だとされている。
暖地(だんち)
野菜茶業研究所が野菜の作型成立の基本的要因として気温で分類した地域区分のうち、四国、九州の大部分および関東、東海、中国の一部分を指す。年の平均気温が15〜18℃の地域である。
単肥(たんぴ)
硫安や過りん酸石灰などのように、肥料成分を一つしか含んでいない肥料をいう。
短命種子(たんめいしゅし)
寿命(発芽力を維持している期間)が1〜2年と、比較的短い種子。
単粒構造(たんりゅうこうぞう)
土壌粒子が結合または集合しておらず、一つ一つがバラバラの状態のときを単粒構造という。
砂や粘土は、単粒構造である。
団粒構造(だんりゅうこうぞう)
土の粒子が集合したものを団粒といい、団粒でできている土の状態を団粒構造という。保水性・通気性・排水性を兼ね備えており、植物栽培上好ましい土壌状態である。