農業・園芸用語集

か
開花調節(かいかちょうせつ)
花き栽培・採種栽培において、より有効な花を咲かせる目的で、温度・日長・薬品などの処理によって開花時期を調節することをいう。
カイガラムシ
害虫の一種で、種類が多く、体表がロウ物質で覆われているため薬剤で駆除しにくい場合が多い。木が弱るとつきやすいので、健全な生育を図ることが先決である。
塊茎(かいけい)
シクラメン・球根ベゴニア・アネモネ・カラーなどのように、茎が肥大した球根をいう。
塊根(かいこん)
ダリア・ラナンキュラスのように、根が肥大したものをいう。
かいよう病
トマトで被害の大きい細菌病。種子伝染と土壌伝染、接触伝染がある。茎や葉柄の内部が侵され、茎葉は萎れて枯れる。風雨による二次感染の場合は葉枯れを起こし、また果実に鳥目状の小斑点を生じる。
化学肥料(かがくひりょう)
硫安は空気中の窒素を、石灰窒素はカーバイトと空気中の窒素を、過りん酸石灰はりん鉱と硫酸を、それぞれ原料とするなど、化学的工程を使って無機質原料から作られた肥料のことをいう。
花芽分化(かがぶんか・はなめぶんか)
植物は、その生長点に発育して花芽となるべき新しい組織を作る。このことを花芽分化、更には花芽形成という。要因にはその植物の年齢・温度・日長などいろいろある。
花冠(かかん)
ひとつの花の花びらの集まり。美しい色をもつことが多く、昆虫を誘う。萼とともに雌ずい、雄ずいを保護する役目を担う。
可給態養分(かきゅうたいようぶん)
土中の養分のうち、作物に吸収されやすい簡単な化合物となっているものを、可給態養分という。複雑な化合物で吸収されにくいものを不可給態養分という。
萼(がく)
被子植物の花被の一番外側にあって花弁をかこむ部分。ヘタ。
隔年結果(かくねんけっか)
よく実がつく年(なり年)と実がつかない年(裏年)が1年おきに交互にくることがある。実をたくさんつけた枝には、次の年に花芽がつくられにくいという性質からくる現象で、ミカンやカキはその代表的な例。
がく割れ
カーネーションの栽培上、大きな障害となっているもので、がくが破損して商品にならなくなる。昼夜の温度較差や肥料の影響が大きな原因とみられる。また、品種による違いもある。
花茎(かけい)
キク科のタンポポやヒガンバナ科のヒガンバナのように、先に花がついているだけで、葉のついていない茎。葉のついている普通の茎と区別して呼ぶ。
果梗(かこう)
枝や茎から分かれて細く伸び、その先に果実をつけている部分。
花梗(かこう)
花柄のこと。
花崗岩砂礫(かこうがんされき)
花崗岩からできた砂とれき。
仮根(かこん)
原始的な植物である、コケ植物や海藻類の根にあたる部分。維管束は発達しておらず、植物体を支える役割などを担っている。
果菜類(かさいるい)
キュウリ・スイカ・カボチャ・トマト・ナス・ピーマンなどのように、果実を利用する野菜の種類をいう。スイートコーン・マメ類・イチゴなどもこの中に入る。
花糸(かし)
被子植物の花のうち、葯を支えている細長い部分のこと。
花序(かじょ)
花軸についている花の配列状態。
芽条変異(がじょうへんい)
形質の異なった芽なり枝が発生した場合、これを芽条変異という。枝変わりともいわれ、突然変異の一つである。
花芯(かしん)
花蕊に同じ。花のおしべ・めしべの総称。
花穂(かすい)
一本の長い花軸に、小形の花が多数、穂状についているもの。
下垂性(かすいせい)
茎や枝が垂れ下がる性質のこと。「枝垂れ(しだれ)性」ともいう。
化成肥料(かせいひりょう)
無機質の肥料とか、肥料の原料だけを単に配合したものを配合肥料と呼ぶが、原料に化学操作を加え、肥料三要素のうち二つ以上の成分を含ませた肥料を化成肥料という。
過石(かせき)
過リン酸石灰。
家族労働報酬(かぞくろうどうほうしゅう)
これは、次式による答をいう。
家族労働報酬=農業所得{粗収入−(資材費+雇用労賃)}−自己資本利子見積り
また、1日当たり家族労働報酬は次式で算出する。
1日当たり家族労働報酬=家族労働報酬/家族労働日数
花托(かたく)
被子植物の花において、雌しべや雄しべを支えている部分。花床ともいう。
花柱(かちゅう)
雌しべの部分のうち、柱頭と子房を結ぶ棒状の部分のことをいう。
褐色根腐病(かっしょくねぐされびょう)
トマトの根を侵す病気で、コルキールートともいう。被害をうけた根は褐変しコルク化する。薬剤による防除は困難であり、耐病性の台木を利用する。
活着(かっちゃく)
移植や挿し木をした植物が十分に根づいて生育すること。
果肉(かにく)
明確な定義はないが、果実のうち、肉質の可食部を果肉という。
鹿沼土(かぬまつち)
栃木県鹿沼地方に産する火山灰土の下層土。粒状多孔質で保水、排水性に富み、さつき用土や挿し木用土として使われる。酸性土。
カバープランツ
地表面を低く被覆させる目的で栽培する植物をいう。土壌の浸食を防ぎ、環境美化の効果をもつ。代表的なものに、ヘデラやツタなどがある。また、グラウンドカバープランツともいう。
過繁茂(かはんも)
茎葉が茂りすぎて着果や果実の肥大または結球などを阻げ、さらに風通しが悪くなり病虫害の被害が増大する。窒素肥料や土壌水分の過剰で発生しやすい。
果皮(かひ)
果実のうち、種子を包んでいる部分全体を果皮という。
株(かぶ)
根を含めた、一つの植物体全体のこと。
株立ち(かぶだち)
樹形の一つで、根本部分から3本以上の幹が伸びているもののこと。
株間(かぶま)
作物の株と株との間。作物によって適正な間隔があり、播種・間引きなどで等間隔にすることで、より揃いがよくなる。
株分け(かぶわけ)
根株を分割して繁殖する、栄養繁殖の一つ。宿根草の多くは株分けで増やす。
花粉(かふん)
種子植物が作り出す雄性の生殖細胞。雄しべの葯の中で、花粉母細胞が減数分裂することで小胞子が作られ、それが成熟して花粉粒となる。
花柄(かへい)
花序の主軸から分枝して、それぞれの花を支える枝。
果柄(かへい)
果梗のこと。
花弁(かべん)
花びらのこと。花弁とがくを合わせて花被といい、花弁はがくの内側にある内花被である。
花房(かぼう)
トマトなど房状についた花の集合体のこと。(実を指す場合は果房)
花木(かぼく)
花や葉、果実や枝条を観賞する木の類をいう。切り花・鉢物・庭木などに用いる。
可溶性りん酸(かようせいりんさん)
りん酸一石灰(CaH4P2O8)は水に溶けやすいので、水溶性りん酸といい、過りん酸石灰はこれが主成分となっている。また、りん酸マグネシウムなどは水に溶けにくいが、植物の根が分泌する炭酸や有機酸には溶けるので、く溶性りん酸といい、よう成りん肥の主成分となっている。
可溶性りん酸は、上記の水溶性と、く溶性の二つのりん酸を一括した呼び名である。
カラーリーフ・プランツ
草花、樹木のなかで、特に美しい葉色をもつ植物の総称。さまざまな葉色を見せる斑入り葉、銅葉、銀葉、黄金葉など、一風変わった葉色をもつ植物群が、庭のアクセントカラーとして注目されている。
花蕾(からい)
蕾のこと。特に花蕾という場合、ブロッコリー・カリフラワーなど、食用とする蕾を指すことが多い。
加里(かり)
肥料として重要な成分で、肥料三要素の一つとなっている。たいていの作物の吸収量も三要素のうち特に多い。しかし自然的に供給されやすいし、流亡も比較的少ないので、施用の量はそれほど多くないのが普通である。作物体内の養分移動や繊維質の生成に役立っている。記号はK。
仮支柱(かりしちゅう)
苗の定植後、倒伏を防ぐために立てる短めの支柱のこと。
過りん酸石灰(かりんさんせっかい)
りん鉱に硫酸を注いで製造される。主成分は水溶性のりん酸一石灰(CaH4P2O8)で、肥効は速い。
カロテン
色素の一種で、緑色・橙色・黄色の野菜に多く含まれており、この内β-カロテンは人体に摂取されたあとでビタミンAとなる。これをプロビタミンAと呼んでいる。
稈(かん)
イネ科植物の茎のこと。竹のように中空で、節に隔壁があるのが特徴。
寒起こし(かんおこし)
2月ごろの厳寒期に土を粗めに掘り起こすこと。下層の土塊を寒さに当てることで、通気性をよくしたり、害虫や病原菌を死滅させたりする効果がある。
換気(かんき)
温室・ビニールハウス・トンネル栽培などで、空気を入れ換えることをいい、重要な作業の一つである。温室などの換気は天窓や側窓の開閉によって行う。換気扇を用いて行う場合は、これを強制換気という。
環境制御(かんきょうせいぎょ)
作物の栽培にあたり、光・温度・湿度・二酸化炭素濃度・気流などの環境要因を、生育に適した状態に調整することで、作物の光合成速度を最大限に高めて生長を促進させ、収穫量を上げること。こうした設備を備えた施設を環境制御ハウスと呼ぶ。
還元分解(かんげんぶんかい)
土中の有機物が分解する形の一つ。土中の空気の流通が悪いため酸素が少なく、分解が不十分で、その大部分は腐植となって土中に残る。この場合、嫌(けん)気性の微生物が働いており、還元分解という。
反対に、通気がよく好気性微生物が作用する場合は、酸化分解(さんかぶんかい)が起こる。
緩効性肥料(かんこうせいひりょう)
肥料の有効成分が少しずつ土壌中に溶け出して、有機質肥料に似た効き方をする化成肥料で、肥効が長時間続く。1回の施肥量を多くしても濃度障害が出にくく、一般には元肥主体栽培に使われる。IB化成、CDU化成などがある。
寒高冷地(かんこうれいち)
栽培地の分類の一つ。一般に北海道・東北・長野・群馬などの標高の高い地域を指す。夏季冷涼な気候を利用して野菜や花きの栽培が行われる。
間作(かんさく)
栽培している作物の株間、あるいは畝間に別の作物を作付けすること。
完熟堆肥(かんじゅくたいひ)
わらや落ち葉など十分に腐りきったものを「完熟堆肥」という。未熟な堆肥を施すと、障害が出るおそれがある。
環状剥皮(かんじょうはくひ)
取り木を行うために発根を促す際、部分的に枝の皮を取り除く作業。
潅水(かんすい)
水を与えることを潅水という。潅水方法には、地表潅水・地中潅水・滴下潅水・頭上潅水などがある。
潅水チューブ(かんすいチューブ)
畝の上にチューブを乗せて潅水する。この潅水チューブは塩化ビニール製が多い。水をチューブから均一に流出させるために、種々の工夫が施されている。
乾生木(かんせいもく)
乾生植物。砂漠・荒原など水分の乏しい場所に生育し得る植物。サボテン、イワレンゲなど多肉で貯水組織が発達しているものが多い。
間接肥料(かんせつひりょう)
植物に直接吸収されるのでなく、間接的な効果によって植物の生育を助ける肥料。土壌の理化学的性質をよくしたり、微生物の活動を盛んにして養分の吸収度をよくする肥料。石灰・苦土肥料・けい酸肥料など。
完全花(かんぜんか)
一つの花に雌しべと雄しべを共に備えている花をいう。両性花と同意語。
寒地(かんち)
野菜茶業研究所が野菜の作型成立の基本的要因として気温で分類した地域区分のうち、北海道全域および東北、北陸、関東、東山の一部門を指す。年の平均気温が9℃未満の地域である。
乾土効果(かんどこうか)
土を乾燥して、その後水を加えると、あらかじめ乾燥させなかった場合より微生物の作用が促進される。また、水田程度の状態に水を加えた場合はアンモニア態窒素が増え、畑程度の状態に水を加えた場合はアンモニア態窒素と硝酸態窒素が増える。これを乾土効果という。
乾熱殺菌(かんねつさっきん)
タネを高温・低湿度で一定期間処理することによって、タネに付着あるいは侵入している病原菌・ウイルスを死滅させる方法である。処理温度は発芽に支障を起こさない範囲と期間で行う。
例えばスイカの緑斑モザイク病の防除には70℃・3日間、または73℃・2日間の処理。キュウリの緑斑モザイク病には70℃・3日間の処理が有効である。
寒肥(かんひ)
寒中に農作物、果樹、庭木などに施す肥料。
乾腐病(かんぷびょう)
タマネギの重要病害で、根は褐変腐敗し、茎盤部(根のつけ根)が乾腐状態となる。病原菌はフザリウム菌で土壌伝染する。防除として、苗床はあらかじめクロールピクリン剤で土壌消毒(どじょうしょうどく)し、連作を避けるか耐病性品種を利用する。
潅木(かんぼく)
樹木の主幹が不明瞭で、根ぎわから何本かの枝を出し、樹高がほぼ2mを超えないもの。ドウダンツツジ、ツゲなど。
冠毛(かんもう)
キク科の舌状花や管状花の子房の上部にある絹のような毛。もともとがくが変形したもの。
観葉植物(かんようしょくぶつ)
草花は、一・二年草や宿根草・球根など、いろいろに分類されているが、観葉植物もその一つで、美しい葉を観賞する植物のうち、主に温室で栽培する種類をいう。
アナナス・ベゴニア・コリウス・ゴムなどたくさんある。
寒冷紗(かんれいしゃ)
綿やビニロンなどの化学繊維で網目模様に編んだ布状の被覆資材の一種。目の粗さや色の違いで遮光率が異なるので、一般に遮光用にするが、防寒や防風、水分の蒸散防止などの目的でも利用される。
寒冷地(かんれいち)
野菜茶業研究所が野菜の作型成立の基本的要因として気温で分類した地域区分のうち、東北、東山の大部分および北陸、関東、東海、近畿、中国、四国、九州の一部分を指す。年の平均気温が9〜12℃の地域である。