農業・園芸用語集

き
偽果(ぎか)
果実の分類の一つで、子房のみが発達した真果に対し、子房以外の部分が肥大したものを偽果と呼ぶ。
機械選果(きかいせんか)
収穫した果実を等級別に揃える手段として、人手でなく、機械を用いて行うやり方をいう。
奇形果(きけいか)
果実が品種本来の正しい形をしていない場合、これを奇形果という。トマトの栽培で特に問題とされる。トマトの果実の発育・肥大・着色を早める手段としてホルモン剤をつけるが、濃度が高くて効きすぎると、果実が角張って空洞になったり、果実の先が尖って奇形果になってしまう。このように奇形果は、ホルモン剤の効果が不的確な場合や、受精が不十分な場合に特に発生しやすい。
木子(きご)
グラジオラスやユリなど、球根植物の球茎基部の節のえき芽が肥大してできた小球茎のこと。珠芽。グラジオラスのように、ストロン(地下茎の一種)ができて、その先端に小球茎ができる場合もある。
気孔(きこう)
陸生植物の表皮にある、空気や水蒸気の通路となる穴。穴を囲むように存在する2つの孔辺細胞が形状を変化させることで、開閉を行う。光合成のために二酸化炭素を取り込んだり、蒸散により植物体の水分調整を行ったりするための重要な器官である。
木子繁殖(きごはんしょく)
ユリは地中に植えた球根から茎を伸ばすが、この茎が地上へ出るまでの部分の節に、小さな球が作られる。これを木子(きご)といい、これを使って繁殖することを木子繁殖という。グラジオラスも木子で繁殖できるが、この木子は、はじめに植え付けた球の周りにくっついた形でできる。
気根(きこん)
植物の地上部から空気中に出る根。
岐根(きこん)
主にダイコンやニンジンなどの直根類において、何らかの障害によって主根の成長点が損傷し、側根が肥大してしまったもの。又根とも呼ばれ、商品価値が大きく下がる。
キスジノミハムシ
ダイコンやカブで問題となるアブラナ科の害虫。成虫は2mm、黒色で2本の黄色い筋がある。
主に葉を食べ、1mm程度の穴をたくさんあける。幼虫は白色の蛆虫状。土中で根を食べ、表皮に傷をつけるため、商品性が損なわれる。対策として、アブラナ科の連作を避け、成虫に対してはアセタミプリド水溶剤などの殺虫剤を散布する。幼虫に対しては播種時にテフルトリン粒剤などの殺虫粒剤を土壌混和処理する。
キセニア
タネや果実の形質に花粉(雄親)の影響が現れる現象をいう。トウモロコシの白色粒の品種の雌しべに黄色粒の花粉がついて受精すると、その粒が黄色になるのはキセニアの一例である。
拮抗作用(きっこうさよう)
二種類の成分が互いに作物への吸収を妨げ合う作用で、石灰と苦土との間が最も大きく、加里と石灰、加里と苦土との間にも認められる。
キッチンガーデン
家庭菜園と同様、食用の植物を植えた家庭の庭や花壇のことだが、実用面だけでなく色彩などの見た目を考慮し、観賞も楽しめるよう工夫したものを指す。
客土(きゃくど)
栽培上、必要によって圃場に特定の土を持ち込むことがある。このことを客土という。
キャップ栽培
春先の低温期に早く植え付けを行う場合、三角ボウシ状のフィルムを利用して、植え付けた苗に被せ、霜よけと保温を兼ね、生育を助長する栽培をいう。スイカで多く用いられる。
キュアリング
例えば、グラジオラスの掘り取った球根は、表面が傷みやすい。これを温度33℃、湿度80%の室に一週間余り入れると球根の表面に周皮が形成されて、傷みにくく貯蔵性を高める。このように収穫後、保存をよくするために行う処理をキュアリングという。野菜でもサツマイモやカボチャで行われる。
球茎(きゅうけい)
球根の一種で、茎が肥大して球状になり、その表面は薄くて膜のようになった葉で包まれているものをいう。フリージア・グラジオラスなどの球根がこれである。
球根(きゅうこん)
植物体の一部が肥大して、そこに養分を貯蔵して冬や夏を越えるものがある。この場合、肥大したものを球根という。このうち茎に肥厚した葉が集まって球となったものをりん茎(りんけい)といい、茎が球状に肥大したものを球茎、茎の肥大したものではあるが、表面に皮がなくて裸のものを塊茎(かいけい)、根が肥大したものを塊根(かいこん)という。
球根冷蔵(きゅうこんれいぞう)
芽の伸長を抑えたり、開花を促進させたりして開花調整を行うために、球根を低温下に置くこと。
吸収係数(きゅうしゅうけいすう)
土は肥料成分を吸収する。その力を土の肥料成分吸収力といい、その程度を表したものを吸収係数という。
厩肥(きゅうひ)
家畜の寝ワラや糞尿を厩肥またはうまや肥という。寝ワラや糞は有機物を多く含み、尿は窒素や加里を多く含む。
吸肥力(きゅうひりょく)
作物が養分を吸収する力をいい、作物の種類によって吸収力に差がある。例えばトマト・カボチャ・ダイコン・エンドウなどは吸肥力が強く、スイカ・ハクサイ・セルリーは弱い種類である。
休眠(きゅうみん)
生育に適さない環境に耐えるなどの理由で、植物が一時的に生長を停止させる現象。
休眠打破(きゅうみんだは)
植物は開花・結実・球根形成などが終わると生育活動が停止するか、停止に近いほどに弱まり、その後、時期がくると再び活動を始めるものがある。このような活動の一時的な休止を休眠という。活動を自然に再開するのを待たないで低温にあわせたり、一度高温にあわせてから低温にあわせるなどの手段で、活動の再開を促すことを休眠打破という。
球根やタネでの休眠も多く、ホウレンソウなどは高温で休眠を打破する。
距(きょ)
距とはもともとニワトリの蹴爪(けづめ)のことだが、植物では花の後ろに突き出した中空の角状のものをいう。花弁や萼(がく)が変化したもの。スミレ、オダマキなどに見られる。
夾雑物(きょうざつぶつ)
ISTA規定の種子の純潔検査において、純潔種子・異種種子のいずれでもないもの。具体的には、元の大きさの半分以下の破損した種子、種子ではないあらゆる物質(茎、葉、砂、石など)とされている。
共同出荷(きょうどうしゅっか)
出荷のための組合を作り、組合員の生産物をまとめて出荷することをいう。組合の形式には、申し合わせのものから町村単位のもの、農業協同組合の一部門となっているものなどいろいろある。
鋸歯(きょし)
歯の縁がのこぎりの歯のように細かく切れ込んだもの。=欠刻。
切花鮮度保持剤・切花保存剤(きりばなせんどほじざい・きりばなほぞんざい)
化学薬品で処理して切花の寿命を長くさせる研究は1929年以後続けられてきた。一般に切花保存剤として販売されているものは、蔗糖(しょとう)・抗生物質・金属塩・弱酸などを混合したもので、種類によっては有効である。なかでも近年切花前処理剤として脚光を浴びている薬剤にSTS剤(チオ硫酸銀)があり、カーネーション・スイートピー・キンギョソウ・宿根カスミソウ・トリカブト・デルフィニウム・アルストロメリアなどで効果が認められている。
切り戻し(きりもどし)
伸びた枝や茎を、その中間まで切り詰める作業のこと。切り戻しをすることで、下から元気な枝が伸び出てくるので、伸びすぎて姿をくずした株などの仕立て直しができる。
桐生砂(きりゅうずな)
やや風化した火山性砂礫。排水性・通気性に特に優れ、ラン、オモト、山野草などの用土に向く。
菌核病(きんかくびょう)
多くの野菜・草花に発生する病気で、茎の地際や葉柄などを侵して腐らせる。この部分に白い菌糸が現れ、さらに黒色の菌核(きんかく)を作る。菌核は一見して、ネズミの糞に似ている。低温・多湿の時に起こりやすい。
近郊園芸(きんこうえんげい)
都市近郊での園芸の営みを近郊園芸という。輸送費が少なく、新鮮な状態で市場に着荷できる、輸送のききにくいものが栽培できる、などの特長がある。
近交弱勢(きんこうじゃくせい)
例えば、ダイコンやキャベツなどのように他家受粉を常態としている植物は、形質の近似したものばかりの交配を繰り返してゆくと、次第に生育の力が衰える。この現象を近交弱勢という。内婚弱勢とも呼ばれる。
菌根菌(きんこんきん)
根に入り込んで植物と共生する菌類のこと。菌根菌は土壌中の養分を吸収し、それを植物に与え、一方で植物は光合成産物である糖などを菌に供給する。菌根菌は植物の生育に有益であり、生産現場でも積極的な利用法が模索されている。
均窯(きんよう)
中国の陶磁の一種。乳青色のうわぐすりをかけた陶器で、紅斑や紫斑を加えたものもある。