農業・園芸用語集
さ
催芽(さいが)
タネをまく前に、発芽を始める状態にすることを催芽という。発芽を早めたり、発芽の不揃いを避ける効果があり、方法としては、十分吸水させたタネを、そのタネの発芽適温よりいくらか高い温度に保って発芽状態にする。
細菌病(さいきんびょう)
農作物の病気は、糸状菌(かび)による場合と、細菌類(バクテリア)による場合が多い。バクテリアは、糸状菌と違って表皮を破って侵入することができず、傷口や気孔、水孔などから侵入し発病する。軟腐病・黒腐病・青枯病などがある。薬剤が限られ、予防散布が大切。
採種圃(さいしゅほ)
栽培用のタネをとるために用いる畑をいう。他種の花粉、タネなどが混入することのないよう、努めて純正な、そして充実したタネがとれるように管理することが大切である。
最小容水量(さいしょうようすいりょう)
毛管作用で保持できるぎりぎりの水分量を最小容水量といい、100gの乾燥土が重力に逆らって保持できる水分の量を“容水量いくら”というように表す。圃場容水量(ほじょうようすいりょう)と同意語。砂土は水がよく浸透するが、粘土は容易に浸透しない。このように土の種類によって、水分を保持する力は違う。
最少養分律(さいしょうようぶんりつ)
作物が完全に生育するためには、必要な無機養分が全部揃っていなくてはならない。どれか一つでも不足すると、この場合の生育・収量は、他の養分は足りていても、不足している一つの養分に支配されてしまう。このことを最少養分律という。
栽植密度(さいしょくみつど)
単位面積当たりの栽植本数をいう。作物の種類によって大体決まっているが、環境条件などによってかなり左右されることが多い。密植し過ぎると生育が悪くなり、収量も低下するので、各々その地に合った栽植密度を知ることが大切である。
最大容水量(さいだいようすいりょう)
土の中が水で満たされて、飽和したときの水分量をいう。pF ※=0である。
※pFの説明は圃場容水量(ほじょうようすいりょう)を参照。
細胞壁(さいぼうへき)
植物細胞のもっとも外側にある、セルロースを主成分とした組織。骨格がない植物においては、細胞壁が体を支える役割を担っている。
在来品種(ざいらいひんしゅ)
限られた地域の中で伝統的に栽培され、食されてきた品種。長い歴史の中で日本の環境に順応し、交配と選抜・淘汰を重ねながら各地の在来種として定着した。例えば、京野菜(37品目)・加賀野菜(15品目)・江戸野菜などがある。
刮ハ(さくか)
成熟して乾燥すると、数室に裂開して種子を放出する果実。
作型(さくがた)
作物は作る時期や作り方によって、いろいろの場合があるが、それらを作型という。
例えば促成・抑制栽培、夏秋どり、冬どりなどいずれも作型である。
砂耕栽培法(さこうさいばいほう)
砂を用いて、水や養分の水溶液によって栽培する方法をいう。
挿し木・挿し芽(さしき・さしめ)
植物の枝や若芽などを切り取り、砂などに挿して発根させ植物を殖やす。栄養系の一つ。カッティングともいう。
挫止現象(ざしげんしょう)
主にスイカやメロンの接ぎ木栽培の場合に使われる用語で、接ぎ木したものが、温湿度の急変など不良条件にさらされて、生育が停頓あるいは枯死する現象をいう。他の作物でも、また接ぎ木に限らず起こることがある。
挿し接ぎ(さしつぎ)
接ぎ木方法の一種で、台木上部の中央部分に小さい穴をあけ、この穴へ穂を挿し込む方法。穂はあらかじめ、下端を鋭く尖らせておく。
挿し床(さしどこ)
挿し芽(挿し木)に用いる床をいう。用土は保水性や排水性に優れたものが良い。
サッカー
株元から離れたところから生えてくる新芽。
雑種強勢(ざっしゅきょうせい)
ある二つを両親とした子供の代には、生育の旺盛な場合がある。これを雑種強勢(ヘテローシス)という。自家受粉を常としている作物や、また、他家受粉を常としている作物であっても、自家受粉を何代も続けた系統であれば、雑種強勢が強く現れる。原則的には、両方の遺伝的な素質の違いが大きいほど、雑種強勢の現れ方が強い。
莢(さや)
種子を覆う果実の一種。莢果。
砂礫(されき)
砂と小石。つぶて。しゃれき。
酸化分解(さんかぶんかい)
土の中に酸素が多い場合の有機物の分解を酸化分解といい、好気性細菌が作用している。
有機物の分解が旺盛な時は、多量の炭酸ガス・水・アンモニア・硝酸などを生成し、腐植として残る割合が少なくなる。通気がよいことの他、温度が35〜40℃で適量の水分があり、石灰分がたくさんあると、一層活発な酸化分解が進行する。
サンクガーデン
西洋庭園の形式の一つ。一般に長方形の区域を掘り下げ、底面と斜面を植栽し、花壇などで修飾したもの。沈床庭園。
三小葉(さんしょうよう)
葉のつき方の一つ。頂小葉と側小葉からなる。
酸性土壌(さんせいどじょう)
土壌中の水溶液が酸性であれば、その土壌を酸性土壌という(pH・ピーエッチ)参照。
三相分布(さんそうぶんぷ)
土壌は固体(粘土などの鉱物)、液体(水)、気体(空気)の3要素で構成されており、それぞれを固相、液相、気相という。この三相の比率を、三相分布と呼ぶ。
散播(さんぱ)
ばらまきのこと。
三倍体(さんばいたい)
作物の染色体の数は、普通、その作物の花粉や卵核の染色体の2倍であるが、これらを倍加して四倍体にしたものとの雑種は三倍体になる。三倍体は正常な受精をしないのでタネができない。タネなしスイカは、この理論を応用したものである。